2016年初頭にソニーのハンディカムのラインナップが一新されました。
その中でも上位機種であるFDR-AX40、これは2015年はじめに発売されたFDR-AX30の後継モデルで、家庭用として手が届く価格帯でありながら高画質な4K映像が撮影できるというのが強みの製品です。
外見はほとんど変わらない二台のビデオカメラですが、今回のモデルチェンジで前モデルとなにが変わったのか?という点について比較検証してゆきたいと思います。
FDR-AX40 | デジタルビデオカメラ Handycam ハンディカム | ソニー
1. 高画質化
ソニーの高画質技術を凝縮した“プレミアム”高画質
今回のモデルチェンジで第一に謳っているのは画質の向上というポイントでした。カメラにとって画質は最重要ポイントですので画質が向上するのはありがたいですね。
カメラの画質はレンズやセンサーといった、いくつかの要素によって決まってきます。具体的にどの部分が改善されたのか見てゆきましょう。
1-1 センサーの再設計
“新開発”「Exmor R CMOS(エクスモアアールシーモス)センサー
最初に挙げられていたのは新開発のセンサーでした。Exmor R CMOS(エクスモアアールシーモス)センサーは旧モデルのFDR-AX30でも搭載されていたのですが、新製品発売にあたって再設計を施したようです。
仕様だけを見てみると、FDR-AX40のセンサーサイズが1/2.5型なのに対し、FDR-AX30が1/2.3型なので一見小さくなっているように見えます。
ただ「動画記録に使用する受光面積が前機種(FDR-AX30)に比べ1.6倍にアップ。」と記載があるため、これまで使用していた汎用的なセンサーを動画記録に最適化したものと解釈できそうです。
また総画素数も、1,890万画素(FDR-AX30) → 857万画素(FDR-AX40)のように減っているように見えますが、動画撮影時の有効画素数はどちらの機種も829万画素(16:9)です。こちらについてもコストカットのための最適化と考えてよさそうです。
総画素数だけを見てしまうと機能が劣化しているようにも見えますが、有効画素数が変わらない中で受光部面積が広くなるのであれば画質の向上が見込めそうですね。
1-2 レンズの再設計
“新開発”「ZEISS(ツァイス) バリオゾナーT*(ティースター)」レンズ
前モデルのFDR-AX30も「ZEISS(ツァイス) バリオゾナーT*(ティースター)」レンズでしたが、こちらもセンサー同様、再設計を施したようです。
FDR-AX30と比べるとF値が大きくなったため、多少暗くなる反面、被写界深度が広くなりました。また焦点距離が短くなったため、より広角でワイドな映像の撮影ができるようになります。
レンズについても、動画撮影に対して最適化を施した、といった印象です。
2. 手ブレ補正機能のさらなる改善
“新”「空間光学手ブレ補正」を搭載して、手ブレ補正機能の安定感がパワーアップしました。
FDR-AX30でも搭載されていた「空間光学手ブレ補正」に、「インテリジェントアクティブモード」も搭載(HD撮影時のみ)してより安定感のある映像を撮影できるようになりました。
なお今回のキャッチコピーが「約15倍ブレない」ですが、前モデルのキャッチは「約13倍ブレない」です。比べるのも難しいところですがビデオカメラにとって手ブレ補正機能はとても重要な機能のひとつなので、より安定感ある映像が撮影きるようになったのは嬉しいですね。
3. オートフォーカスがより早く、正確に
「ファストインテリジェントAF」を搭載して、ピント合わせがより早く正確になりました。
「ファストインテリジェントAF」はFDR-AX30には搭載されていなかった機能です。一眼レフなど、ソニーのカメラはオートフォーカス(ピント合わせ)の速さや正確さに定評があります。その技術をハンディカムにも使用し、より快適な映像撮影ができるようになりました。
ピント合わせが賢くないと、ズーム倍率を変更した際や、被写体が動いたときに映像がぼやけてしまったり、もたついてしまったりとストレスを感じます。早く賢くなったのはとてもありがたいですね。
4. マイクが高性能化
集音性を高めた新機構「高性能マイク」
従来機種が1方向だったのに対し、5方向からの集音構造を新たに搭載。臨場感のあるクリアな高音質記録を実現しました。
5. ズーム倍率が大幅に向上
4K撮影時30倍、HD撮影時40倍の全画素超解像ズーム機能
ズーム倍率がFDR-AX30と比べて大きく向上しています。
光学倍率だけで10倍 → 20倍、最大倍率でも20倍 → 40倍ですのでかなりの改善ですね。
様々なシーンに柔軟に対応できるようになるため、ズーム倍率の向上はとてもうれしい改善ポイントです。
仕様一覧表
ここまで新しい機能のご説明をさせていただきましたが、気になる仕様についても表にして比べてみたいと思います。
FDR-AX40 | FDR-AX30 | |
---|---|---|
イメージセンサー | 1/2.5型 Exmor R CMOSセンサー | 1/2.3型 Exmor R CMOSセンサー |
総画素数 | 857万画素 | 1,890万画素 |
有効画素数(動画時) | 829万画素(16:9) | 829万画素(16:9) |
有効画素数(静止画時) | 829万画素(16:9), 622万画素(4:3) | 1,030万画素(16:9), 774万画素(4:3) |
レンズ | ZEISS バリオ・ゾナーT* | ZEISS バリオ・ゾナーT* |
フィルター径 | 55mm | 52mm |
フォーカス | 自動/手動(タッチパネル) | 自動/手動(マニュアルリング・タッチパネル) |
F値 | F2.0-3.8 | F1.8-3.4 |
f(焦点距離) | f=4.4-88mm | f=3.8-38.0mm |
f(35mm換算)動画時 | f=26.8-536.0mm(16:9時) | f=29.8-298.0mm(16:9時) |
f(35mm換算)静止画時 | f=26.8-536.0mm(16:9時) f=32.8-656.0mm(4:3時) |
f=26.8-268.0mm(16:9時) f=32.8-328.0mm(4:3時) |
ズーム(動画時) | 光学20倍(デジタル250倍)、全画素超解像40倍(HD)、30倍(4K) | 光学10倍(デジタル120倍)、全画素超解像20倍(HD)、15倍(4K) |
ズーム(静止画時) | 光学20倍(デジタル250倍) | 光学10倍(デジタル120倍) |
液晶モニター | 3.0型(16:9)/460 800ドット クリアフォト液晶 | 3.0型(16:9)/921 600ドット エクストラファイン液晶 |
ナイトショット | – | ●(ナイトショットライト内蔵) |
手ブレ補正機能 | 空間光学方式 | 光学式(空間光学方式, アクティブモード搭載) |
記録メディア | 内蔵メモリー、XAVC S 4K(100Mbps)記録:SDHCメモリカード(4GB以上、UHS-I U3以上)/SDXCメモリーカード(UHS-I U3以上推奨)、XAVC S 4K(60Mbps)記録:SDHCメモリーカード(4GB以上、Class10以上)/SDXCメモリーカード(Class10以上推奨)、XAVC S HD記録:SDHCメモリーカード(4GB以上、Class10以上)/SDXCメモリーカード(Class10以上推奨)、AVCHD/静止画記録: メモリースティックPROデュオ™(Mark2)、メモリースティックPRO-HGデュオ™、メモリースティックXC-HGデュオ™、SD/SDHC/SDXCメモリーカード(Class4以上推奨) | 内蔵メモリー、XAVC S 4K(100Mbps)記録: SDXCメモリーカード(UHS-I U3以上)、XAVC S 4K(60Mbps)記録:SDXCメモリーカード(Class10以上)、XAVC S HD記録:SDXCメモリーカード(Class10以上)、AVCHD/静止画記録: メモリースティックPROデュオ™(Mark2)、メモリースティックPRO-HGデュオ™、メモリースティックXC-HGデュオ™、SD/SDHC/SDXCメモリーカード(Class4以上推奨) |
内蔵記録メディア容量 | 内蔵メモリー 64GB | 内蔵メモリー 64GB |
外形寸法:幅×高さ×奥行 | 73.0×80.5×142.5mm | 71×78.5×133.5mm |
外形寸法(付属バッテリー装着時) | 73×80.5×166.5mm | 71×78.5×155mm |
本体質量 | 約510g | 約585g |
カラー | ブラック・ブラウン | ブラック |
終わりに
新しく発売したFDR-AX40と旧モデルのFDR-AX30の違いについて比較検証することをテーマにまとめさせていただきました。
外見はほとんど変わらないながらも、内面は様々な面から機能改善されているなという印象を受けました。
製品のコンセプトとしてはもはや完成の域に到達しているビデオカメラという家電製品だからこそ、細かい部分の性能や使い心地の面で差が付いてくるものと思います。きめ細かい作りこみが得意な日本製品が海外でも支持される理由がわかりますね。
さて、Rentioではビデオカメラをはじめとした様々なカメラ、家電製品を3泊から貸出しています。イベントや旅行のときだけあれば十分な製品、購入する前に試してみたい製品などあれば是非こちらも検討してみてくださいね。