[初心者向け] 天体望遠鏡の選び方と目的別おすすめ6選
更新日2022/05/20
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満天の星空をもっと近くで見てみたい!そんな願いを叶えてくれるのが天体望遠鏡です。
宇宙に魅かれてしまうのは人類共通の習性でしょうか。小学生の自由研究だけにとどまらず、大人の趣味としても天体観測は人気です。
天体観測を個人で楽しむなら、用意しておきたい天体望遠鏡。ですが、種類も多く初心者には選び方がわかりづらいですよね。
そこで、天体望遠鏡の違いや選び方を初心者向けにやさしく解説します。見たい天体の種類や目的別のおすすめ天体望遠鏡もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
天体望遠鏡の選び方を初心者向けに解説
「いざ天体望遠鏡を選ぼう!」と思っても、種類が色々あって初心者には見分けがつかないですよね。
そこで、まずは天体望遠鏡の仕組みを解説し、種類や選び方のポイントをご紹介します。
0. 天体望遠鏡の仕組み
天体望遠鏡は、「鏡筒」「架台」「三脚」の組み合わせでできています。
この中で、注意して選ぶべきなのは、鏡筒と架台です。この2つは種類によって性能が大きく異なるので、目的や使う人に合わせて最適なものを選びましょう。
三脚は、それほど機能に差がなく選択肢も多くはありません。鏡筒や架台に対応している純正のものを選んでおけば間違いないでしょう。
1. 鏡筒を選ぶ
まずは、天体の見え方を左右する天体望遠鏡の鏡筒部分を選びます。
鏡筒選びで、見える天体の種類や見え方、扱いやすさが変わるので、初心者の方はとくにしっかり選ぶことが大切です。
光学タイプで扱いやすさや価格が決まる
鏡筒には、屈折式・反射式という大きく2つの光学タイプがあります。
―屈折式―
屈折式は、レンズで光を集める望遠鏡です。
接眼レンズが天体と同じ向きになっていて見つけやすく、メンテナンスも簡単なので初心者向き。鏡筒内の空気の動きが少ないため、安定してコントラストの良い見え方が特徴です。
ただし、レンズ構造が複雑で重く高価になりがちなのがデメリットとなります。
―反射式―
一方の反射式は、鏡で光を集める望遠鏡です。
接眼レンズが本体の横に垂直方向についていて扱いが難しく、振動でずれた光軸のメンテナンスも必要なので、中~上級者向きといえるでしょう。
にじみや歪みが少なく、暗い星でもはっきり見えます。高性能で口径が大きいものでも比較的低価格で手に入ることもメリットです。
その他に、屈折式と反射式を組み合わせたタイプなどもありますが、やはりメンテナンスが必要で基本的には中~上級者向きとなります。
初めての天体望遠鏡でしたら、扱いやすい屈折式がおすすめです。
口径(有効径)で明るさが決まる
天体望遠鏡の口径(有効径)とは、対物レンズや鏡の大きさを示す数値です。
口径が大きいほど光をたくさん集められて視野が明るくなるので、暗い天体まで観察することができます。
また、天体を高倍率で見たい場合にも、口径の大きさが重要です。
天体望遠鏡の倍率は接眼レンズの交換で変更できるのですが、倍率を高くできる上限は口径の大きさ(mm)の2倍程度までと決まっています。倍率の上限を超えると視界が暗くなりピントが合わないので、高倍率で見るなら口径も大きくする必要があります。
暗い天体や遠くの天体を観測したい場合には明るさが重要となるので、口径が大きめの天体望遠鏡がおすすめです。
ただし、口径が大きい天体望遠鏡は大きく重くなってしまうので、保管や持ち運びに不自由しない程度のものを選びましょう。
2. 架台を選ぶ
天体望遠鏡の鏡筒を選んだら、続いて本体を乗せる架台を選んでいきます。
鏡筒を安定して保持する役割の架台ですが、目標の天体を見つけやすくする機能や自動で天体を追尾する機能などがついているものもあります。目的に合わせてタイプや機能を選びましょう。
経緯台か赤道儀かは目的で選ぶ
架台には、経緯台と赤道儀の2種類があります。
―経緯台―
経緯台は、水平と垂直の2方向に動くタイプの架台です。
構造がシンプルなので、軽量で操作しやすく比較的安価になっています。
ただし、天体は時間の経過で移動してしまうので、一つの星の動きを追い続けるのは難しく、長時間露光での撮影をしたい方などには不向きです。
―赤道儀―
一方の赤道儀は、地球の自転の動きに沿って動くタイプの架台です。
事前に極軸を天の北極に合わせておけば天体の日周運動に合わせて観測ができるので、一つの天体を長時間観測・撮影したい方に向いています。
ただし、構造が複雑なので初心者には操作が難しく、重く高価なことがデメリットです。
気軽に天体観測をしたい初心者さんには経緯台、本格的な観測や長時間露光撮影をしたい中~上級者さんには赤道儀がおすすめです。
自動追尾・自動導入機能があると便利
経緯台・赤道儀どちらのタイプでも、コンピューターやモーターを搭載している自動追尾や自動導入などの機能つきの架台があります。
―自動追尾―
自動追尾は、観察中の天体を日周運動に合わせて自動で追いかける機能です。
一度設定してしまえば、時間の経過に合わせて手動で微調整をする手間がないので便利です。
―自動導入―
また、自動導入は、最初にいくつかの星を設定しておくことで、見たい天体を自動で探し出してくれる機能です。
暗い星や見つけづらい天体を探す際に便利な機能となります。
コンピューターやモーター搭載の架台は、便利ですが値段も高価で重くなってしまいます。予算や目的に合わせて有無を選びましょう。
目的別おすすめ天体望遠鏡
これまで天体望遠鏡の鏡筒・架台の選び方について解説しましたが、使用目的によって最適な天体望遠鏡は異なります。
そこで、代表的な天体望遠鏡の使用目的別におすすめの天体望遠鏡タイプをご紹介します。ぜひ用途に合わせて天体望遠鏡を選んでみてください。
月を見るための天体望遠鏡
月はもっとも身近な天体の一つです。日々形が変化する月は、毎日見ても飽きない魅力的な天体ですよね。
月は明るく大きいので、天体望遠鏡の使用に慣れていない方でも簡単に見つけることができます。
月の場合は、倍率50倍で月全体が視野に入り、70倍以上でクレーターが良く見えます。口径の小さな天体望遠鏡でも、十分楽しむことができます。
月を見るのにおすすめの天体望遠鏡
月や明るい惑星の観測ができる口径50mmの天体望遠鏡です。
3つの接眼レンズが付属しているので、倍率を変えながらじっくり月の観察ができます。
架台はフリーストップ式経緯台で、見たい方向に動かして手を離した位置で止まってくれる簡単操作で初心者向き。
三脚は軽量なアルミ素材で、全体でわずか1㎏と超軽量で持ち運びにも便利です。
価格も1万円以下と安価で手軽な入門天体望遠鏡です。
惑星を見るための天体望遠鏡
惑星は、地球と同じ太陽系の天体です。見える位置が常に変わるので、インターネットやスマホアプリなどで確認して探しましょう。
惑星によって地球からの距離や大きさが異なるので、観測に適した倍率や口径も異なります。
適した口径 | 倍率 | 見え方 | |
---|---|---|---|
水星 | 80㎜以上 | 60倍~100倍 | 形がわかる。 |
金星 | 50㎜以上 | 60倍~100倍 | 満ち欠けや大きさの変化がわかる。 |
火星 | 100㎜以上 | 70倍~150倍 | 大接近時、極冠や大シルチスが見える。 |
木星 | 100㎜以上 | 70倍~150倍 | ガリレオ衛星や縞模様が見える。 |
土星 | 50㎜以上 | 70倍~150倍 | 環やタイタンが見える。150倍以上で縞模様が見える。 |
惑星の模様までしっかり見たい方には、口径100㎜以上の明るい天体望遠鏡がおすすめです。
惑星を見るのにおすすめの天体望遠鏡
口径127mmで焦点距離が長いので、高倍率で惑星を見ることができる天体望遠鏡です。
初心者でも簡単に設定しやすい自動導入・自動追尾機能付きの経緯台。操作はスマホで行い、専用アプリには12万個以上の天体が記憶されていてお目当ての天体がすぐに見つけやすくなっています。
重さは全体で7.7㎏ありますが、あらゆる惑星観測におすすめの天体望遠鏡です。
↓実際に使用したレビュー記事はこちら
ビクセンの天体望遠鏡 セレストロン Astro Fi5 SCTを実機レビュー!専用アプリSkyPortalの自動追尾機能がスゴイ – Rentio PRESS[レンティオプレス]
星雲・星団を見るための天体望遠鏡
星雲や星団は、淡く暗い天体です。街灯の多い街中ではなかなか見られません。
星雲・星団をきれいに見るためには、街灯のない暗い場所での観測がベスト。天体望遠鏡は口径の大きい明るいもので、倍率は50倍以下で見ることをおすすめします。
また、肉眼で見つけるのは難しいので、7×50程度の双眼鏡で位置を確認しながら探すか、自動導入機能付きの天体望遠鏡が便利です。
星雲・星団を見るのにおすすめの天体望遠鏡
口径100㎜のニュートン反射式天体望遠鏡。にじみや歪みが少なく視界が広いので、星雲・星団を見るのにぴったりです。
架台は、簡単操作の自動導入・自動追尾機能付きの卓上タイプ。一等星を導入するだけで設定ができるので、初心者でも使いやすくなっています。
自動導入機能付きですが軽量コンパクトなので、観測場所までの移動や持ち運びも楽々です。
小学生でも使いやすい天体望遠鏡
小学生の自由研究や誕生日プレゼントとしても人気の天体望遠鏡。
宇宙に興味を持ちはじめた子どもが一人でも天体観測ができるよう、最初は操作が簡単で扱いやすい入門機がおすすめです。
家族キャンプやお泊りに気軽に持って行けるよう軽くて簡単に組み立てられるものがいいですね。
小学生におすすめの天体望遠鏡
口径50mmの屈折式天体望遠鏡です。月や明るい星の観測に向いています。
ワンタッチ三脚で、小学生でも簡単に組み立てられます。小型で約900gと軽量なので、持ち運びにも便利。
接眼レンズも3種類で倍率を変えて観測が可能です。バードウォッチングなどで地上でも使えるよう正立プリズムも付属。
価格もお手頃なので、入門機としてはぴったりの天体望遠鏡です。
写真撮影に必要な天体望遠鏡や機材
天体望遠鏡で見えた天体を写真に残したい!という方には、スマートフォンや一眼カメラと連結するためのアダプターが必要になります。
スマホ写真の場合は手持ちでも撮影できますが、手ブレを防いでよりきれいに撮影したい方や動画の撮影をしたい方には、アダプターがあるほうが便利です。
一眼カメラの場合は、レンズを取り外して専用のマウントとアダプターを取り付けて天体望遠鏡と連結します。長時間露光で撮影したい場合には、天体の日周運動に合わせて自動追尾してくれる赤道儀が必要となります。
スマホでの天体写真撮影におすすめの機材
初心者でも手軽に扱える屈折式天体望遠鏡ですが、口径90㎜で色々な天体を観測できます。扱いやすい経緯台とワンタッチ三脚がセットになっています。
接眼レンズ部分にアダプターを取り付けるだけで、手軽にスマホ撮影ができるセットです。
一眼カメラでの天体写真撮影におすすめの機材
赤道儀セットの本格的なニュートン反射式天体望遠鏡です。大口径150㎜で、星雲・星団から惑星の高倍率観測まで幅広く楽しむことができます。
シャッターを切った瞬間の手ブレを防ぐため、こちらのようなリモートスイッチがあると便利です。
天体望遠鏡は実際に試してから購入がおすすめ
天体望遠鏡を買うなんて、人生で一度か二度くらいしかないイベントですよね。
せっかくの機会なので、自分に合った1台を選んでじっくり使いこなしたいものです。
ネットで買うのも気軽でいいのですが、「思ったより大きくて邪魔」「説明書だけじゃ初期設定や使い方がわからない」「見たかった天体が見えない」などの失敗談もよく耳にします。
カタログやホームページでもある程度性能の比較はできるのですが、初めての天体望遠鏡選びであれば、できれば一度実物を見てみるのがおすすめ。
実際に持ってみたり動かしてみたりすると、本当に自分に合った天体望遠鏡が見つかりやすくなりますよ。
天体望遠鏡はレンタルでも試せる
また、購入前のお試しに天体望遠鏡のレンタルという方法もおすすめです。
レンタルサービスのRentio(レンティオ)では、天体望遠鏡をネットで気軽にレンタルできます。
レンタルできる天体望遠鏡の種類やプランの詳細は、こちらからご覧ください。