Canon EOS Kiss X9実写レビュー!現役カメラマンが大人気カメラを使用して徹底解説

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2017年7月28日発売となった“Canon EOS Kiss X9”。こちらはエントリーモデルとして圧倒的な人気を集めたEOS Kiss X7の後継機としておよそ4年ぶりにリニューアルされたモデルとなります。
小型軽量を最大の特徴とするEOS Kiss X7でしたが、今回のEOS Kiss X9でどのような変化があったのか、性能はどれだけ上がったのか、ご紹介していきます。
※作例写真は全てJPEG撮影時のまま掲載しています。
EOS Kissシリーズについて詳しくはこちら
[2018年最新版]一眼レフ初心者が知りたいEOS Kissシリーズの選び方と全ラインナップの比較 – RentioPress
2019年4月、最新モデル「EOS Kiss X10」発売
こちらの記事では2017年7月発売のEOS Kiss X9をご紹介していますが、約2年後の2019年4月には後継機となるEOS Kiss X10が発売されています。
後継モデルとして進化した性能や実際に撮影できる写真などを紹介しているレビューはこちらからご覧ください。
Canon EOS Kiss X10実写レビュー!初心者向け最新モデルを現役カメラマンが使って徹底解説 – Rentio PRESS
もくじ
外観
先代からの小型軽量を維持
世界最小・最軽量の一眼レフとして発売されていた前モデルのEOS Kiss X7ですが、EOS Kiss X9になっても小型・軽量を維持しています。
EOS Kiss X7は、407g(ブラック)だったのに対してEOS Kiss X9は、453g(ブラック)とおよそ50g増加したものの、最軽量級一眼レフであることに変わりはありません。実際持った感覚も重量に差を感じることはほとんどありませんでした。
普段軽量フルサイズ一眼レフであるEOS 6Dを使用している私ですが、EOS 6Dが重く感じるほどEOS Kiss X9は軽いと実感しました。
フィット感が増したグリップ部
そして手へのフィット感ですが、シャッターボタン部の突起が大きくなった分、更にフィット感が増しました。
EOS Kiss X7では、突起の小ささに安定感を失うこともありましたが、今回の外観デザインの変更により、グリップ部が手にフィットしやすく、ブレの少ない、安定感の増した撮影を実現しています。
片手操作が可能になったモードダイヤル
そして最大の変化は、モードダイヤル付近にありました。今までダイヤルが浮き上がっていたため、シャッターボタンに指を置いていた場合、親指のみでのダイヤル操作が困難でした。
今回のEOS Kiss X9では、ダイヤルが埋め込みタイプになったためシャッターボタンに指を置いたまま、親指のみでダイヤルを回転させることができるようになりました。この改良は、撮影シーンが刻々と変わる場面や、瞬間的にモードを変える時にとても有効的です。
モードダイヤルで選択できる機能が減ったように思いますが、実はEOS Kiss X7時代、シーンで分かれていた「ポートレート」「風景」「クローズアップ」「スポーツ」は、EOS Kiss X9では、「SCNモード」に統一されました。この影響もあり、モードダイヤルでの選択肢が減り、簡単操作を更に強めました。
バリアングル液晶の採用
モニター部のボタン配置はほとんど変わりませんが、モニターがバリアングル液晶に変更になりました。現代の一眼レフで一般的となったバリアングル液晶ですが、今回ようやく搭載となりました。
バリアングル液晶を使うことで、これまで体勢上不可能であった方向からの撮影などが可能になります。人混みの運動会で埋もれてしまった場合でもカメラを持ち上げて、バリアングル液晶で確認すれば綺麗に撮影することができます。
EOS Kiss X7からの継続でタッチパネルも採用されています。タッチパネルで操作することで、スマートフォンに近い感覚で撮影することができます。
初心者に優しい設定メニュー
エントリー向けモデルとして今回性能面で大きく変わったのが、撮影時ディスプレイに表示される情報画面です。これまでは画像(上)のような黒い画面に、数字やイラストが並ぶだけでしたが、今回のEOS Kiss X9では、初心者により分りやすくなったガイド式の設定画面を搭載しています。
視覚的に撮影をサポート
例えば画像(下)のように絞りモードでは、数値が低ければ「ぼかす」、数値が高ければ「くっきり」と、視覚的にどうすれば思い通りの作品ができるかをサポートしてくれます。
また、背景に白の面積が増えたため、これまでのイメージよりも明るくなりました。「一眼レフは難しい」という理屈を吹き飛ばす最新機能です。
最新映像エンジンを搭載し、高画質を実現
Canon EOS Kiss X9, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM, F9, 1/400sec, ISO100, スペシャルシーンモード「風景」
拡大することで実感「高画質」
EOS Kiss X9では、キヤノンの最新映像エンジン「DIGIC7」を搭載しました。映像エンジンとは、カメラの脳的役割を果たす非常に重要な部分で、画質やノイズ処理に大きな影響をもたらします。
今回の「DIGIC7」搭載で、EOS Kiss X9は、約1800万画素であったEOS Kiss X7から大幅に増加した約2420万画素を実現しました。
そしてノイズ処理に大きく影響を与える常用ISOですが、ISO100~25600を実現。
ISO感度は大きければ大きいほど夜に強くなりますが、常用最大ISO25600という数字は、かつてエントリーモデルでは実現できなかった領域だけに暗い場所に強いカメラといえるでしょう。
正確なAF精度
Canon EOS Kiss X9, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM, F5.6, 1/400sec, ISO100, スペシャルシーンモード「クローズアップ」
EOS Kissシリーズの購入を検討されている方は、ファミリー層やこれからカメラを始められる方が多いと思われます。正直AF精度と言われてもパッとしない方がほとんどだと思われます。
ピントを合わせたい場所へ瞬時に
AF精度とは、オートフォーカスの正確さで、「どれだけ自動でピントが正確に速く合うか」と考えて頂けたらと思います。「どのような場面で活躍するのか?」というと、お子様の運動会や、ペットが動き回る写真など、一瞬を逃したくない時に差が出る性能です。
EOS Kiss X9でもEOS Kiss X7で好評であった「中央クロス9点AFセンサー」を搭載しています。AF機能には、測距点というフォーカスポイント(ピントを合わせるポイント)が存在し、この測距点が多いほどAF精度は高いと言われています。
EOS Kiss X9での測距点は9点と、少ないものの、AF方式に変更があり中級機であるEOS 70Dから搭載されている「デュアルピクセルCMOS AF」をEOS Kiss X9では採用しています。これによる高速AFは、撮影していてストレスを感じることはありませんでした。
私が以前愛用していたEOS Kiss X5と比較してもAF機能は非常に向上していると感じました。ピントを合わせたい場所にすぐ合わせてくれます。
5コマ/秒の連写機能
連写機能は、決定的瞬間を逃さないための機能です。EOS Kiss X7では、4コマ/秒だった連写機能はEOS Kiss X9で5コマ/秒へと進化しました。1コマ/秒の差は大きく、細かく写真に残すことができるようになりました。運動会でもかけっこやペットが走り回る様子も連写機能で良い瞬間を撮り逃しません。
便利なクリエイティブフィルター
モードダイヤルで○が2つ重なる様なイラストが描いてあるモードがあります。こちらのモードは、クリエイティブフィルターと言って、EOS Kiss X7では、モードダイヤルに存在しませんでした。
クリエイティブフィルターでは、加工した様な写真をその場で撮影できるモードです。
SNS映えする写真を簡単に!
「ラフモノクロ」「ソフトフォーカス」「魚眼風」「水彩風」「トイカメラ風」「ジオラマ風」「HDR絵画調標準」「HDRグラフィック調」「HDR油彩調」「HDRビンテージ調」があります。
これらを使用することにより、SNS映えする写真を撮ることができます。
ラフモノクロ
Canon EOS Kiss X9, EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM, F7.1, 1/640sec, ISO100, クリエイティブフィルター「ラフモノクロ」
モノクロ調の写真を撮影することができます。カラー写真を後からモノクロにしただけの写真とは違い、ざらつきのある質感が特徴のモノクロ写真に仕上がります。
コントラストの明暗がはっきり分かれるので、調節しないとくどい写真に仕上がることもあります。曇りの日など、コントラストが弱い日におすすめの機能です。
ソフトフォーカス
Canon EOS Kiss X9, EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM, F7.1, 1/640sec, ISO100, クリエイティブフィルター「ソフトフォーカス」
柔らかい雰囲気の写真に仕上げることができます。少しボカすことで色味も落ち着くため、女性の方が好みそうなモードです。
魚眼風
Canon EOS Kiss X9, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM, F5.6, 1/640sec, ISO1000, クリエイティブフィルター「魚眼風」
魚眼レンズのワイドに写せる性能を取り入れた機能です。残念ながら画像の歪みを大きくしただけで、魚眼らしさはあまり出ません。
無理矢理魚眼にした感じが強いため、個人的にはクリエイティブフィルターで一番使わない機能だと思われます。
水彩風
Canon EOS Kiss X9, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM, F4.5, 1/125sec, ISO100, クリエイティブフィルター「水彩風」
水彩画のような優しい調に仕上がるのが水彩風モードです。
残念ながらこちらもあまり使い道が無いように思われます。色が潰れすぎてしまって絵にも見えないときがあります。
トイカメラ風
Canon EOS Kiss X9, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM, F5.6, 1/160sec, ISO400, クリエイティブフィルター「トイカメラ風」
今回ご紹介するクリエイティブフィルターで最も優秀だと思ったモードです。
写真投稿SNSであるInstagramでは、トイカメラ風の写真が大人気です。そんなInstagramでウケが良さそうな写真を自動で撮影することができます。四隅が暗めになり、色も緑っぽい一昔の感じが漂います。
ジオラマ風
Canon EOS Kiss X9, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM, F8, 1/320sec, ISO100, クリエイティブフィルター「ジオラマ風」
ジオラマ風では、ピントが合った場所以外がボケる作品ができあがります。この効果で、遠近感を出し、ジオラマ写真らしさを出しています。
平行線上の被写体にはあまり効果がなく、見下ろす角度が一番効果的です。
HDR各種
HDRとは、ハイダイナミックレンジ合成の略称で、合成写真の部類にあたります。
このモードの目的は、写真の中に写る被写体の明暗差を無くすことです。露出の違う複数枚を合成して1枚の写真を仕上げるモードです。普通の光景を撮影してもあまり変化がないので、HDRを使う機会は限られることが多いです。
クリエイティブフィルターでは目的がしっかり定まっているため、作風を変えたい時には有効的です。
後からクリエイティブフィルターをかける事も可能
クリエイティブフィルターの効果は、撮影後の写真に適応することができます(HDR各種を除く)。
再生画面のクイック設定から選択でき、フィルター処理した画像は別ファイルとして保存されます。フィルターをかけるかかけないかを迷った時におすすめの方法です。
使える!スペシャルシーンモード
スペシャルシーンモードでは、シーンに合わせた撮影を可能とするモードです。
EOS Kiss X9で搭載されているシーンは、「ポートレート」「集合写真」「風景」「スポーツ」「キッズ」「クローズアップ」「料理」「キャンドルライト」「夜景ポートレート」「手持ち夜景」「HDR逆光補正」です。
撮影条件に合わせてモードを変えるだけ!
「ポートレート」「風景」「スポーツ」などは以前から搭載されている機能で定評があります。
私は「風景」モードが気になり使ってみましたが、風景がクッキリ写るようにF値が自動的に絞られ、緑や青が色鮮やかになるようにコントラストや色合いが調整されます。
暗くならない!便利な「HDR逆光補正」
今回実際に撮影してみて一押ししたいと思ったモードは、「HDR逆光補正」です。
旅行先や観光先へ行っても、逆光の場面というのは必然的に出てきてしまうものです。そんな時、オートで撮影し、家に帰り確認すると「顔など被写体が真っ暗!」という経験をされた方は多いのではないでしょうか。
このモードを使えば、自動的に露出の違う3枚を合成し、逆光でも暗くならずに済みます。
HDRを使用する際の注意は、写真合成のため、構図をずらさないようにしましょう。少しでも向きや構図が変わってしまうと被写体同士が重ならず、残像のような物が浮かび上がってきます。
画像の転送やシェアが簡単!
現代では、スマートフォンに撮影した写真を保存することが主流になってきました。
EOS Kiss X7では搭載されなかったWi-FiとBluetooth機能がEOS Kiss X9では搭載されています。
これによりスマートフォンなどへの直接転送が可能となり、撮った写真をすぐSNSなどへアップロードできるようになりました。
一度繋げば楽で高速転送「Bluetooth機能」
特にBluetooth機能では、一度機器登録をすると、Wi-Fiよりも速く通信することができ、快適に写真を転送することができます。
もちろんクリエイティブフィルターなど適用した写真も転送可能で、簡単にSNS映えする写真をリアルタイムで配信することができます。
カメラ内で画像編集が可能
フィルターをかける事が可能でも、構図や傾きに困ることがあります。
そんなときは、撮った写真をパソコンやスマートフォンに転送する前にカメラ内でも画像編集することが可能です。
新搭載!「傾き補正」
トリミング作業や新搭載となる「傾き補正」を実現。実際、ファインダー内で傾いていないと思っても、撮影した写真を見ると、傾いているということが多々あります。
スマートフォンでの傾き補正は、フリック操作が難しく、思い通りにいかない場合が多いのでカメラ内で済ませてしまう方が楽かもしれません。トリミングに関しても約2420万画素の高画質を活かして、拡大しても荒さが目立たない仕上がりになります。
総評
これまでEOS Kiss X9をご紹介してきましたが、EOS Kiss X7から進化を感じられる優秀なモデルだと感じました。
歩きながらの撮影でも疲れない軽量小型ボディ、約2420万画素の高画質、撮影時から芸術的に魅せることができるフィルター各種の充実、Wi-FiやBluetooth機能の搭載でスマートフォンへの簡単転送など、魅力的な機能が沢山詰まっています。
はじめて一眼レフを買いたいと思っている方にもおすすめですし、今までEOS Kiss X7を使っていた方にもおすすめのモデルです。
SNSユーザーにも満足の機能が搭載となっているだけに今までスマートフォンやコンパクトデジカメで済ましていた方も、これを機にEOS Kiss X9で一眼レフデビューをしてみるのも良いかもしれません。
EOS Kiss X9をレンタル
今回ご紹介したCanon EOS Kiss X9は、家電レンタルRentioでレンタルすることができます。
一眼レフの購入には勇気がいると思います。そんなときレンタルを利用して試してみませんか?
EOS Kiss X9の他にも複数の一眼レフカメラがレンタル可能です。是非レンタルサービスをご利用ください。