双眼鏡の選び方とおすすめをプロが解説!安いor高い双眼鏡は何が違う?
更新日2023/04/03
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ライブやコンサート、スポーツ観戦、アウトドアなどで活躍する双眼鏡。
双眼鏡は種類が多いので、初めて選ぶ方にとって倍率や価格以外の違いはわかりづらいもの。
そこで、一見似たように見える双眼鏡の違いと選び方を、双眼鏡のプロに取材し解説します。
使用シーン別のおすすめ双眼鏡もご紹介しますので、双眼鏡選びの参考にしてみてください。
もくじ
双眼鏡の選び方をプロが解説
双眼鏡は、安いものだと千円程度から高いものになると数万円まで、種類も値段も様々。
一体何が違うのか、素人目にはわかりづらいですよね。
そこで、双眼鏡の選び方のポイントを、双眼鏡のプロ・田原さんにお伺いしました。
双眼鏡販売量で上位を誇る株式会社ケンコー・トキナーで、チーフデモンストレーターとして活躍。豊富な知識と軽快でわかりやすい解説が人気で、全国でセミナーやイベントを多数行う。YouTubeでも情報発信中。
1. 倍率
双眼鏡選びでまず確認すべきポイントは、倍率です。倍率が高い双眼鏡ほど、遠くのものが大きく見えます。
倍率による見え方のイメージは「対象物までの距離÷倍率」でわかります。
例えば、100m遠くにある対象物を双眼鏡で見る場合、倍率4倍だと25m離れた場所で肉眼で見るのと同じ見え方になるのですが、倍率10倍だと10mまで近づいた見え方になります。
倍率は高ければ高いほど大きく見えて良いと思われがちですが、倍率が高いほど視野が狭くなる、手ブレが増える、暗く見えるなどのデメリットもあります。
「とにかく高倍率のもの!」ではなく、使用シーンや見たいものまでの距離から適切な倍率の双眼鏡を選ぶのがおすすめです。
双眼鏡は、高倍率になるほど手ブレの影響が大きくなるんです。なので、手持ちで使う場合は10倍くらいまでを選ぶといいでしょう。
それ以上の双眼鏡を選ぶなら、三脚で固定できるタイプのものか、手ブレ補正機能つきの双眼鏡がおすすめですよ。
2. 明るさ・ひとみ径
とくに室内や薄暗い場所で使用することがあるなら、双眼鏡を覗いた際どのくらい明るく見えるか?も重要なポイントです。
双眼鏡の計算上の明るさは、「明るさ」や「ひとみ径」の数値で比較することができます。
ひとみ径は対物レンズの有効径÷倍率で計算でき、さらにひとみ径を2乗した数値が明るさとなります。
同じ倍率であれば、対物レンズの口径が大きい方がたくさん光を取り込めるので明るく見えます。
人間のひとみは、暗いところでは大きく開き、最大で7mmほどになります。
そのため、双眼鏡もひとみ径7mmつまり明るさが49あれば、かなり暗い場所でも肉眼と同じような明るさで見られる計算になります。
ひとみ径・明るさごとの使用シーンは、こちらの表のようなイメージです。
ひとみ径 | 明るさ | |
---|---|---|
7~5mm | 49~25 | かなり明るい。天体観測などにも使用できる |
3~5mm | 9~25 | 明るい。薄暗い中でも使える |
2~3mm | 4~9 | やや暗め。日中は十分使えるが暗所では見えづらい |
2mm未満 | 4未満 | 暗め。晴天時以外では見えづらい |
レンズコート
明るくクリアに見える双眼鏡を選ぶなら、レンズコートも重要となります。
双眼鏡の内部には多くのレンズやプリズムが内蔵されており、その部分を通過する際に光が一部反射して失われていきます。反射する光の量が多いほど、見え方が暗く不鮮明になってしまうのです。
そんな光の反射量を少なくするのが、レンズのコーティング。
よりキレイに見たいなら、すべてのレンズやプリズムにコーティングがしてあるフルマルチコートの双眼鏡を選ぶといいでしょう。
安い双眼鏡と高い双眼鏡の違いで一番わかりやすいのがレンズコートの違いですね。
対物レンズを蛍光灯に照らしてみると、安い双眼鏡は緑色と白色2種類の反射光が混ざっているんです。これは、一番上だけマルチコートであとはコートが無いということ。
高い双眼鏡は奥までずっとマルチコートなので、緑色の反射光しか見えないんです。
実際に覗いたらフルマルチコートの良さは一目瞭然。視界がクリアで立体感が全然違うんですよ。
3. 実視界
双眼鏡で動く物を探しながら見る場合には、実視界が広いものが便利です。
実視界とは、双眼鏡を覗いた時に見える範囲を角度で示した数値。実視界が広いほうが対象物を見つけやすくなります。
基本的に、倍率が高くなるほど実視界は狭くなりますので、実視界は同じ倍率同士で比較するようにしましょう。
双眼鏡を初めて使う方にとって、見たいものをパッと視界に入れるのは意外と難しいんですよね。とくに動くものを見ようとすると、なかなかしんどい。
双眼鏡を使うコツとしては、まずは見たいものを裸眼で探して顔ごとそっちを向いて、そのまま視線をずらさずに双眼鏡を当てること。
慣れるまでは、広い実視界の広角タイプか倍率低めの双眼鏡を選ぶのもおすすめですよ。
4. 重さやサイズ
長時間使用する可能性がある方や色々な場所に持ち運んで使う方にとっては、軽さや大きさはとても重要なポイントです。
双眼鏡の重さは100g程度のものから1㎏を超えるものまで様々。手持ちで覗き続ける時間が長い方には、300g以下の超軽量タイプの双眼鏡がおすすめです。
また、旅行などに持っていくならコンパクトな双眼鏡が良いでしょう。2つに折り畳めるタイプの双眼鏡なら持ち運びに便利です。
双眼鏡の重要なパーツ「プリズム」には2種類あって、それぞれ双眼鏡の形が違うんです。
対物レンズと接眼レンズが直線状になる「ダハプリズム」は、コンパクトに畳めるので最近流行っているタイプ。一方の「ポロプリズム」は少しごつい形になってしまうんですね。
ただ、ポロプリズムのほうがお手頃な価格で、光の損失も少なく明るい視野を確保できるというメリットもあります。どちらを選ぶかは、使用目的や予算次第ですね。
5. その他便利機能
すべての人に必要ではありませんが、使用者や用途によってはこちらの機能の有無もチェックしておきましょう。
手ブレ補正機能(防振機能)
手ブレを自動で補正してくれる防振機能は、とくにライブやコンサートで使う方におすすめの機能です。
とくに高倍率の双眼鏡では細かい手ブレが発生しやすいのですが、その影響を軽減してハッキリと見えるようになります。
↓防振機能つき双眼鏡について詳しくはこちら
[2019最新]ライブにおすすめ防振双眼鏡を4つの選び方で厳選! – Rentio PRESS[レンティオプレス]
ロングアイレリーフ
ロングアイレリーフは、とくにメガネをかけている方が重視すべきポイントです。
接眼レンズから目の位置までの距離が15mmと長めに設計されているので、目当てから目を離した状態でも全体がしっかり見えます。
メガネをかけた普段の状態のままで双眼鏡が使えるので、長時間の使用でも疲れにくくなります。
つけまつげやまつげエクステをしていて、目当てにまつげがあたって気になる方にもおすすめです。
防塵・防滴性能
登山・バードウォッチングなどのアウトドアや野外ライブなど、雨天で使用する可能性がある場合には、防塵・防滴仕様の双眼鏡がおすすめです。
「防滴」はあくまで水しぶきや雨などが多少かかるのを防ぐ程度。水場の近くで使う方などは、より性能の高い「防水」仕様のものなら、誤って水中に落としてしまっても大丈夫なので安心です。
使用シーン別のおすすめ双眼鏡
これまで双眼鏡の選び方の基本を解説しましたが、使用シーンによって最適な双眼鏡は異なります。
そこで、代表的な双眼鏡の使用シーンごとにおすすめの双眼鏡タイプをご紹介します。ぜひ用途に合わせて双眼鏡を選んでみてください。
コンサート・ライブ向きの双眼鏡
コンサートやライブでアーティストの表情をより大きく見たいなら、高倍率がおすすめ。会場や座席次第でもありますが、アリーナやドームなどの大きい会場で2階席の場合には10倍以上を選ぶといいでしょう。
双眼鏡は高倍率になるほど手ブレしやすいので、防振タイプの双眼鏡がおすすめです。
また、ライブ中は薄暗いことが多いので、明るさの数値が高くフルマルチコートの双眼鏡が理想的。会場が野外なら防塵・防滴仕様のものを選びましょう。
コンサート・ライブにおすすめのケンコー双眼鏡
防振タイプの双眼鏡。倍率10倍で明るさの数値が9と高め。さらに、フルマルチコーティングで光の透過率が高いので明るくクリアに見えます。
重さも515gと防振タイプの中では軽量で、サイズもコンパクト。バランスが良い防振双眼鏡です。
絶対ブレない!防振双眼鏡「ケンコー Kenko VCスマート」の実力を解説!大事なライブにおすすめ。 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
観劇・舞台鑑賞向きの双眼鏡
演劇や舞台を観る際には、会場がそこまで広くないことが多いので、倍率の高さはそれほど必要ありません。それよりも人物の表情が見やすく明るいものを選ぶようにしましょう。
舞台での動きも観たいなら、倍率は6~8倍程度でOK。前の席であれば3倍程度のオペラグラスでも十分楽しめます。
観劇・舞台鑑賞におすすめのケンコー双眼鏡
約400gという最軽量クラスの防振双眼鏡。手ブレ補正機能で、動きのあるキャストを追いながらでも表情までハッキリと見ることができます。
倍率は8倍で、明るさは6.8とやや低めですがフルマルチコートで、舞台上の照明の影響を受けづらくクリアな視界を保ちます。
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スポーツ観戦向きの双眼鏡
動きの激しいスポーツを競技場で観戦する場合、倍率は7~10倍で視野が広いタイプが見やすいのでおすすめ。
野球やサッカーなど屋外スポーツの場合は、突然の雨に備えて防水タイプのほうが安心です。
バレーボールやフィギュアスケートなど屋内スポーツの場合は、屋外よりも暗いので明るい双眼鏡を選びましょう。
スポーツ観戦におすすめのケンコー双眼鏡
8倍の双眼鏡としては比較的広角の実視界7.5°。明るさ28.1とフルマルチコートで、曇りの日や屋内での使用にも対応。もちろん防水仕様なので雨の日もOK。
重さ610gでコンパクトボディのオールマイティな双眼鏡です。
バードウォッチング・アウトドア向きの双眼鏡
山や森などで、目視できる距離で生き物を観察するなら、倍率は7~8倍で視界が広いタイプがおすすめ。動きの速い鳥などでも見つけやすく追いかけやすい双眼鏡です。
動きの少ない生き物や遠くの植物の観察なら、10倍以上で三脚に固定するタイプのものが手ブレせず安定して使用できます。
(※双眼鏡と三脚を取り付けるためには、三脚取付ホルダーが必要です。)
アウトドアで使う場合にはハードな使用環境に備えて頑丈なボディで、突然の雨に備えて防水タイプが便利です。
バードウォッチング・アウトドアにおすすめのケンコー双眼鏡
実視界7°で視野が広く、明るさ28.1にフルマルチコートや特殊なEDガラスレンズなどで、クリアでシャープな見え方の高性能な双眼鏡です。
防水仕様に頑丈なボディで安心ですが、そのぶん610gとやや重め。重さが気になる方は、同シリーズの軽量タイプもおすすめです。
天体観測向きの双眼鏡
天体観測では、夜暗い場所で双眼鏡を使用するので、明るい双眼鏡が最適。
月や星座を探すには、倍率よりも明るさと広角を重視しましょう。7倍で明るい広角タイプがおすすめです。
長時間星空を眺めていると腕が疲れてしまうので、手ブレを防ぐためにも三脚を用意したほうがいいでしょう。
(※双眼鏡と三脚を取り付けるためには、三脚取付ホルダーが必要です。)
天体観測におすすめのケンコー双眼鏡
倍率7倍で明るく広い視野の双眼鏡です。光をたくさん取り込める大きな対物レンズを採用していて、明るさは50.4。
夜露やにわか雨でも安心の完全防水仕様です。880gと重いので、可能であれば三脚を用意しましょう。
双眼鏡は実際に試してから購入がおすすめ
最後に、初めての双眼鏡選びに向けて、田原さんよりアドバイスを頂きました。
双眼鏡ってたくさん種類があるのでわかりづらいですよね。同じ倍率でも値段が5倍くらい違うこともあるので、迷ってしまうと思います。
安い数千円の双眼鏡もそんなに悪くはないんですよ。ちゃんと大きくは見えるので。差が出てくるのは見え方の部分ですね。高いものは立体感が違うんですよ。
ところがこの見え方の違いがかなり厄介。同じようなスぺックでも、見え方が全然違うこともあるんです。
やっぱり実際に覗いてみて比較するのが一番ですね。インターネットなどで購入する場合も、ぜひ一度店頭で試してみていただくとぴったりの双眼鏡が見つかると思いますよ。
実際に試してみることで、視界の鮮明さや素材感、サイズや重さなど色々なことが確認できます。
カタログやホームページでもある程度性能の比較はできるのですが、初めての双眼鏡選びであれば一度実際に店舗に見に行ってみるのがおすすめですよ。
ケンコー・トキナーのショールームで双眼鏡を試す
ケンコー・トキナーでは、東京都中野区にショールームを用意していて、各種双眼鏡を試すことができます。中野駅の近隣にお住まいの方は、お気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?
所在地:〒164-8616 東京都中野区中野5-68-10 KT中野ビル2F
最寄駅:JR中央線/東京メトロ東西線 中野駅北口 徒歩7分
営業時間:11:00~19:00
定休日:年末年始、夏季休暇、GW(イベント開催日はオープン)
レンタルで双眼鏡を試す
また、購入前のお試しにレンタルという方法もおすすめです。
レンタルサービスのRentio(レンティオ)では、双眼鏡各種をネットで気軽にレンタルできます。
レンタルできる双眼鏡の種類やプランの詳細は、こちらからご覧ください。
(※取材協力/株式会社ケンコー・トキナー)
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