Canon EOS RとSONY α7 IIIを徹底比較。2つの人気フルサイズミラーレス一眼の特徴やメリットをご紹介
更新日2022/10/31
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キヤノン、ニコン、パナソニックが新たに参入したことで、一気に盛り上がりを見せているフルサイズミラーレス一眼市場。
これまで独占的であったソニーにとっては強力なライバルの登場となりましたが、依然としてフルサイズミラーレス市場において存在感を示しています。
今回はキヤノンのフルサイズミラーレス一眼において代表モデルとなる「Canon EOS R」と、ソニーのフルサイズミラーレス一眼において代表モデルとなる「SONY α7 III」を比較してご紹介していきます。
もくじ
盛り上がるフルサイズミラーレス一眼市場
かつてフルサイズセンサーを搭載した一眼カメラといえば、一眼レフのタイプが一般的でしたが、近年では、一眼レフからミラー構造を撤廃させたミラーレス一眼カメラにフルサイズセンサーを搭載させたモデルの登場が目立っています。
ソニーでは、一眼レフが主流の時代においてもフルサイズミラーレス一眼の開発を積極的に行っていましたが、ここ数年で大きな注目を浴び、これまで一眼レフ中心であったキヤノンやニコンも急遽フルサイズミラーレス一眼の開発を始めました。
中でも今回比較の対象となる「SONY α7 III」は、まさにフルサイズミラーレス一眼の火付け役にもなった存在と言えるほど、人気のモデルです。
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市場で注目の2つのモデル
今回ご紹介する「Canon EOS R」と「SONY α7 III」は、フルサイズミラーレス一眼市場においても注目の存在です。
まずは両モデルの性能や特徴について簡単にご紹介していきます。
Canon EOS R
2018年10月に発売となったキヤノン初のフルサイズミラーレス一眼「EOS R」。
同社にとってフルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼を開発したのは初の試みでしたが、一眼レフの開発で培った技術力が存分に活かされたモデルとなっています。
これまでの伝統と最新技術の融合
これまで一眼レフ製品において定評のあった伝統の画づくりや性能、機能はそのまま受け継ぎ、電子ビューファインダーを覗いたまま撮影できるスタイルを意識した操作面の新機能として「マルチファンクションバー」が新設されました。
画質面でもフルサイズセンサーらしい階調に優れた描写や、最新の映像エンジンによる高感度撮影時におけるノイズ処理能力で優れています。
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SONY α7 III
2018年3月に発売となったソニーのα7シリーズのスタンダードモデル3代目となる「α7 III」。
前述の通り、ソニーでは昔からフルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラの開発を進めていたため、今回ご紹介するα7 IIIは、シリーズにおいて既に3代目のモデルとなります。
世の中にフルサイズミラーレスの存在を広めたベストセラーモデル
ソニーのミラーレス一眼は、こちらのα7 IIIによってようやく世間の目に留まったと言えるでしょう。
これまでもフルサイズミラーレス一眼を開発していたものの、キヤノンやニコンの一眼レフと比較して劣る部分も多々見受けられたため、ミラーレス一眼を使うメリットを感じない方も多かったのです。
しかし、α7 IIIでは、着実な技術力の向上により、フルサイズ一眼レフと遜色ない性能を実現しただけでなく、多くのカメラマンにとって悩みであった携帯性も、小型・軽量化によって改善しました。
優れた性能を実現しながら、携帯性も改善したフルサイズ一眼として、瞬く間に注目の的となりました。
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2モデルの価格を比較
比較を行っていく上で、まずはCanon EOS RとSONY α7 IIIの価格を比較します。
下記は、2020年4月7日現在での通販サイトamazonにおける実売価格です。
- Canon EOS R – 242,300円
- SONY α7 III – 219,500円
Canon EOS RとSONY α7 IIIには約2万円の価格差がありますが、カメラは発売から時間が経過するごとに価格が下降傾向にあるため、発売時期の差を考えるとほぼ同じ価格帯と言えるでしょう。
2モデルの外観・装備を比較
ここからはCanon EOS RとSONY α7 IIIの実機を使用して、外観やボタンやダイヤルなどの装備面を比較していきます。
近年では、画質だけでなく操作性も強く求められるため、両モデルにおいてどのような工夫がされているのか注目していきます。
どちらもフルサイズセンサー搭載ながら携帯性に優れた大きさ
一眼レフタイプでフルサイズセンサーを搭載したモデルは、大きく重いというイメージが強かった印象ですが、こちらのCanon EOS RとSONY α7 IIIは、ミラーレス一眼タイプとして携帯性にも優れています。
- Canon EOS R : 約135.8(幅)×98.3(高さ)×84.4(奥行)mm
- SONY α7 III : 約126.9(幅)×95.6(高さ)×73.7(奥行)mm
仕様上の外形寸法で比較するとSONY α7 IIIの方がCanon EOS Rよりも小型であることが分かります。
奥行に関しては、Canon EOS Rにおいてグリップ部の深さから持ちやすさが重視されているための数値であり、本体自体の分厚さはCanon EOS Rの方が薄い印象です。
重さについてはほとんど差がない
大きさでは違いのある両モデルですが、重さに関してはほとんど変わらないと言えるでしょう。
- Canon EOS R : 約660g
- SONY α7 III : 約650g
一眼レフでは700g以上の質量となるモデルが多く存在しましたが、この辺りの軽量化はミラーレス一眼だからこそと言えるでしょう。
バリアングル液晶を採用したEOS Rで自由度が高く
今や一眼カメラにおいて可動式の液晶モニターを搭載することが一般的になってきましたが、それぞれのモデルにおいて可動の方式は異なります。
一眼カメラでは主に「チルト式」と「バリアングル式」に分かれており、上下方向のみに動くチルト式に対して、上下左右に動くことで液晶の角度をより細かく調整することができるバリアングル式の方が自由度が高いことで優れています。
今回ご紹介する両モデルでは、チルト式液晶を採用しているSONY α7 IIIに対して、Canon EOS Rでは、バリアングル液晶を採用しているため、ファインダーを覗かず、様々な角度から液晶を確認して撮影するスタイルにはCanon EOS Rの方が適しています。
α7 IIIの最大の欠点は電子ビューファインダー
ミラーレス一眼であることから、見たままの情景を写す光学ファインダーではなく、既に撮像素子を通して変換された映像が表示される電子ビューファインダーが搭載されていますが、液晶であることからこちらも性能差が出てきます。
電子ビューファインダーは、大きさとドット数が仕様上での比較対象となりますが、数値だけでは差が分かりにくいところでもあるので、実際に試されることがおすすめです。
私個人的には、SONY α7 IIIは電子ビューファインダーが最大の欠点だと感じていて、液晶を見ているという感覚のない自然な見え方を実現しているのに対して、SONY α7 IIIは、液晶特有のちらつきや動く被写体を追尾しているときの残像感が気になるところでした。
2モデルの撮影性能を比較
ここからは、Canon EOS RとSONY α7 III両社の撮影性能について比較していきます。
どちらもフルサイズセンサーを搭載したモデルとして、どのような性能差があるのか検証していきます。
どちらも高画素を実現する優秀なモデル
Canon EOS RとSONY α7 III、どちらも高画素に特化したモデルではありませんが、スタンダードモデルとしては、両モデルとも高画素を実現しています。
5000万画素を超えるような高画素に特化したモデルは、高感度撮影など他の性能で妥協しなければいけない場面も生じてきますが、Canon EOS RとSONY α7 IIIでは、他の性能低下に影響を及ばない程度で高画素化を実現しました。
- Canon EOS R : 3030万画素
- SONY α7 III : 2420万画素
仕様の通り、Canon EOS Rの方が画素数も多く、トリミングを想定した撮影などでは有利になります。
低ISO時のノイズ具合はα7 IIIに軍配
高感度撮影時のノイズ具合が気にされることが多いですが、低感度での撮影時のノイズの出方もカメラによって差が出るところです。
高感度撮影時ほど明確な差が出るわけではありませんが、等倍に拡大したとき、ディティールにおける差は結構出てくるものです。
これは大きいサイズでプリントする場面などで影響が出てくるところですが、低感度撮影時におけるSONY α7 IIIの仕上がりはノイジーを感じない、滑らかで素晴らしい描写だと感じました。
RAW現像時においても、特に大幅にシャープネスやノイズリダクションの作業を行う必要のない仕上がりを実現しています。
高速連続撮影もα7 IIIはAF/AE追随で10コマ/秒
一眼カメラにおける連続撮影速度も性能差が大きくでるところです。
高速で動く被写体などは、決定的一瞬を逃さないためにも連続撮影速度が重視されます。
この高速連続撮影にもSONY α7 IIIが優れていると言えるでしょう。
高速連続撮影速度は、AFを固定した状態で撮影するモードと、常時フォーカスを追いかけ続けるモードが存在しますが、フォーカスを追尾し続けるモードの方がハード面で負担が大きくなるため、速度が低下するケースが多く見られます。
しかし、SONY α7 IIIでは、AF/AE追随で10コマ/秒の高速連続撮影を行うことができる性能を実現しました。
Canon EOS Rでは、同様の条件となるサーボAF時には約半分の速度である5コマ/秒の連続撮影速度となっているため、Canon EOS Rにおける欠点と言えるでしょう。
α7 IIIではボディ内手ブレ補正を搭載
今や搭載されることが多くなってきたボディ内手ブレ補正。
ソニーでは、早くからボディ内手ブレ補正の開発を行っており、既に定番の性能になりつつあります。
SONY α7 IIIにおいても約5.0段分のボディ内手ブレ補正機構を搭載しており、低速シャッタースピード時にブレを抑えてくれる役目を果たします。
一方で、Canon EOS Rでは、ボディ内手ブレ補正が搭載されておらず、従来通り、組み合わせて使用するレンズ内の手ブレ補正に頼る以外ない仕様です。
EOS Rで高感度撮影時の素晴らしい仕上がり
ボディ内手ブレ補正を搭載していないCanon EOS Rですが、高感度撮影時における画像の仕上がりは非常に素晴らしいと感じました。
同じフルサイズ一眼としてSONY α7 IIIも高感度撮影において十分に能力を発揮していますが、現像のやりやすさを含めた描写力はCanon EOS Rが圧倒的です。
Canon EOS Rでは、夜間の写真において暗い部分の表現に優れており、コントラスト加減が適切に行われている印象です。
そのため、高感度撮影におけるノイズ処理が非常に行いやすく、ノイズリダクションをかけても自然な描写を叶えているため、後処理を考えた素材としては理想的と言えます。
高感度撮影における描写としては、一眼レフシリーズを含めてキヤノン最高クラスだと私は感じ、夜間撮影のためだけにCanon EOS Rを導入する価値があると言えます。
好みの差もあるがEOS Rの方が自然な発色
カメラにおける発色は、好みの問題もありますが、Canon EOS Rの方が自然な発色であると感じます。
SONY α7 IIIでは、青色の出方に若干癖があるように感じ、濃い青色の表現において違和感を覚えることがありました。
青色や緑色の発色というのは、カメラやレンズによっても大きく変化する難しい色ですが、キヤノンはこの辺りの色表現を正確かつ安定的に叶えていると感じます。
RAWで撮影される方にとっては、現像時に色の表現については調整を行えるため、発色についてはある程度修正が効くところですが、JPEG撮って出しで撮影される方にとって発色は気にしておきたい性能です。
2モデルの製品仕様比較表
製品名 | Canon EOS R | SONY α7 III |
---|---|---|
発売時期 | 2018年10月 | 2018年3月 |
価格 | 184,979円 | 207,710円 |
撮像画面サイズ | フルサイズ(約36.0×24.0mm) | フルサイズ(約35.6×23.8mm) |
映像素子形式 | CMOSセンサー | ExmorR CMOSセンサー |
映像エンジン | DIGIC8 | BIONZ X |
有効画素数 | 3030万画素 | 約2420万画素 |
オートフォーカス方式 | デュアルピクセル CMOS AF方式 | ファストハイブリッドAF |
測距点 | 最大5655ポイント | 最大693点(位相差検出方式) |
常用ISO感度 | ISO100~40000 | ISO100~51200 |
シャッター速度 | 1/8000秒~30秒、バルブ | 1/8000秒~30秒、バルブ |
ボディ内手ブレ補正 | – | 5.0段 |
連続撮影速度(AF固定時) | 最高約8.0コマ/秒 | 最高約10コマ/秒 |
画面 | 3.2型/約210万ドット | 3.0型/約92万ドット |
ファインダー | 0.5型/約369万ドット | 0.5型/約235万ドット |
Wi-Fi搭載 | 〇 | 〇 |
NFC搭載 | – | 〇 |
Bluetooth搭載 | 〇 | 〇 |
大きさ | 約135.8(幅)×98.3(高さ)×84.4(奥行)mm | 約126.9(幅)×95.6(高さ)×73.7(奥行)mm |
質量 | 約660g | 約650g |
Canon EOS RとSONY α7 III比較まとめ
老舗カメラメーカーの安定感Canon EOS Rでは感じられる
これまでCanon EOS RとSONY α7 IIIを比較してきましたが、どちらもフルサイズセンサーを搭載しているミラーレス一眼カメラとして非常に優秀です。
これまでRentio PRESSでのレビュー執筆を通して様々なカメラを試してきましたが、Canon EOS Rは、レビュー以降も最も使うカメラです。
何より最大の魅力は高感度撮影における仕上がりで、夜景の撮影に行く場合は、必ず持っていきたいと言えるほどです。
EOS Rにおいて唯一の欠点とも言えるのが高速連続撮影性能ですが、こちらは撮影シーンによって(風景写真やスナップ撮影)あまり使うことのない機能でもあるため、ユーザーによってはあまり大きな問題になることもないでしょう。
Canon EOS R実写レビュー。総合力でフルサイズミラーレス一眼を選ぶならおすすめしたい万能モデル – Rentio PRESS[レンティオプレス]
SONY α7 IIIもボディ内手ブレや高速撮影で大きなメリットあり
SONY α7 IIIにおいても、もちろんおすすめポイントは沢山存在します。
発売からだいぶ時間が経ちましたが、今なおフルサイズミラーレス一眼として圧倒的なセールスを伸ばしているだけあって、魅力は多いと言えるでしょう。
SONY α7 IIIにおいては、ボディ内手ブレ補正や、AF/AE追随10コマ/秒の高速連続撮影性能が特に優れた性能です。
その他の基本性能においても、スタンダードモデルとして非常に高い水準を実現しているため、実際に使用して満足することができるでしょう。
SONY α7III実写レビュー。今一番売れているフルサイズミラーレスを現役カメラマンが徹底紹介 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
気になるカメラはまずレンタルでお試し
今回ご紹介してきたCanon EOS RとSONY α7 IIIは、気軽にレンタルすることもできます。
価格比較でもご紹介した通り、両モデルとも実売で20万円以上も高値がついているモデルですが、いきなり購入するには勇気がいると思います。
そんなとき、カメラのレンタルサービスを利用することで、短期間お試しすることができ、購入前に自分合ったカメラかどうかを確認することができます。
Rentio(レンティオ)では、Canon EOS RとSONY α7 IIIはもちろん、人気のフルサイズミラーレス一眼や、組み合わせることのできるレンズのラインナップも豊富に取り揃えています。
是非この機会にRentioで気になるカメラをレンタルして、自分に合ったカメラを見つけてください。