朝日・夕日の撮り方と都内近郊おすすめ撮影スポット!露出補正を駆使して美しい写真を撮ろう
更新日2019/09/04
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航空機の写真撮影を中心に活動している、写真家 Atsushi Yoshiokaです。
今回は私自身も情景写真の主役として撮影している朝日・夕日の撮り方をご紹介していきます。
もくじ
美しい朝日・夕日の撮影
毎日朝になると太陽は昇り、夕方になれば太陽は地平線へと姿を消していきます。
朝日が昇る瞬間や夕日が落ちる瞬間は、辺りが薄暗くなり、オレンジ色に空が染まり、幻想的な光景が広がります。その瞬間、カメラを手にして撮影したいという方も多いと思われます。太陽を撮影するのは意外と難しく、「太陽の形がはっきり出てくれない」「明るくなりすぎてしまう」という悩みが付き物です。
今回は、「朝日」「夕日」を美しくきれいに撮影する方法をご紹介していきます。
撮影前の確認
「時間」と「方角」を絶対確認!
朝日や夕日を撮影する際、まず確認しておきたいのが、朝日が昇る時や夕日が落ちる時の「時間」と「方角」です。
日の出、日の入りの時刻と方角は毎日変わります。インターネットで見かけた美しい朝日や夕日の写真も日程によっては方角の関係で「行ってみたら太陽が全く見えない…」なんてこともあります。
また、時刻も非常に重要で、日の長さを考えて頂ければ分かるように夏場は日の出が早く、日の入りが遅いです。逆に冬場は日の出が遅く、日の入りが早いです。夏の季節に日の出を狙う場合は、午前4時台に太陽が昇るため、始発電車でも間に合わないと思われます。逆に冬場は、午前6時半頃に太陽が昇るため、比較的時間に余裕をもって撮影することができます。
夕日の場合は、日の入りが遅くても夏場の午後7時頃のため、朝日よりは比較的撮りやすいと思われます。
「日の出日の入りマップ」が便利!
そして日の出、日の入りを簡単に確認することができるサイトが「日の出日の入りマップ」です。こちらのマップでは、カレンダーから日付を指定すると、マップ上に日の出、日の入りの方角が視覚的に分かり、時刻も画面右上部に表示されます。
ここで確認することで「この日程を狙おう」と計画がスムーズに進むはずです。
持っておきたい装備
朝日や夕日を撮影する際に持っておきたい装備として、「三脚」「レリーズ」があります。
「三脚」は、画角を固定するために使用します。そして日の出、日の入り前後は辺りが暗いので手持ちだとブレが生じやすくなります。「三脚」でカメラを固定し、「レリーズ」でシャッターを切ることでブレを最小限に抑えることができます。
カメラやレンズについて
朝日・夕日撮影で使用するカメラやレンズについては、撮影場所や撮りたい構図によるため「これを買っておけば間違いなし!」というご紹介は難しいところです。基本的に強い太陽光を撮影するため、光の反射によって生まれる「フレアゴースト」を抑えやすいレンズがおすすめです。
雰囲気を出すのであればワイドな広角~標準レンズを、迫力を出すのであれば望遠レンズを使用されることをおすすめします。
いくつかシーン別の作例を掲載していきます。
標準ズームレンズを使用した撮影
Canon EOS Kiss X5とEF–S18–55mm F3.5–5.6 IS IIの組み合わせで撮影した、標準ズームレンズの作例です。
ワイドで撮影する際は、太陽の位置が高いときに効果的です。また、雲が多い時やオブジェクトが多い時に使用すると、ワイドらしさが出た作品に仕上がります。
望遠レンズを使用した撮影
Canon EOS 7DとEF 100-400mm F4.5-5.6L IS USMの組み合わせで撮影した、望遠レンズの作例です。
望遠で撮影する際は、太陽が地平線の近くにあるときに効果的です。太陽光線は、位置が高くなるほど強くなるので日の出後数分、日の入り前数分が勝負です。
撮影時の設定
Canon EOS 6D, EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM, F8, 1/500sec, ISO800, 天空橋駅付近
日の出、日の入りともに状況は刻々と変化します。
朝日撮影のカメラ設定
朝日の場合は、暗い状態から徐々に明るくなってきます。この場合、日の出の瞬間は太陽光線も弱いため、ISOは高めの400~1000ほどに設定し、明るさの変化に対応できるよう「Av(絞り優先)モード」を選択しましょう。
F値は、F8を目安に開放値から少し絞るようにしましょう。少し絞ることにより、太陽の輪郭がはっきりとします。
太陽が完全に姿を見せると、光線は急激に強くなり「露出オーバー」の状態になりがちです。これが最初に記載した「明るくなりすぎてしまう」原因で、すぐに対応しなければなりません。カメラを最低ISO感度に設定し、今度は「M(マニュアル)モード」に設定します。絞り値は先ほど同じで、開放から少し絞る程度で、シャッタースピードを調整します。
この際、適正な露出よりも少しマイナス側になるようにすることがポイントです。太陽が昇ると光線が強くなることで、ファインダーを覗く際、目に負担がかかります。十分気を付けて撮影しましょう。
夕日撮影のカメラ設定
夕日の場合は、明るい状態から暗くなっていきます。この場合は、朝日と逆のパターンになりますが、夕日の場合は、太陽光線の強弱判断が難しいため、最初から最後まで「Av(絞り優先)モード」をおすすめします。
明るい内は、カメラ内の「露出補正機能」を使用します。露出補正を-2/3から-1に設定すると空の色もきれいに出て、美しい情景写真を撮影することができます。暗くなるにつれてISO感度を上げて対応しましょう。
ホワイトバランスを調整
撮影テクニック最後にホワイトバランスについてご紹介します。ホワイトバランスは、色温度と言われる「色を温度で表した数字」です。「ケルビン値」とも呼ばれ、数字が低いほど温度が低い「青っぽい写真」になり、数字が高いほど温度が高い「赤っぽい写真」になります。
日の出、日の入り時は、オレンジ色の空が特徴的なので、ホワイトバランスをマニュアルで、ケルビン値7000K~8500Kまで上げることで赤味をさらに増した印象に残りやすい写真になります。
朝日・夕日は現像も大切
写真撮影をしてパソコンに取り込んで終わってしまう方も多いと思います。パソコンやスマートフォンが発達した今、写真を編集する「現像作業」も重要な作業だと私は感じています。
「Adobe Photoshop Lightroom」が便利!
近年の現像ソフトには、キヤノンやニコンが公式で提供しているソフトウェアもありますが、Adobe社が発売している「Adobe Photoshop Lightroom」が大変使いやすく好評です。
Lightroomでは、スライダーを動かすことで感覚的に写真編集をすることができます。編集によっては流行のInstagram風の写真に仕上げることも可能です。
「Adobe Photoshop Lightroom」を使った現像画面
足りない箇所を調整程度に現像
朝日や夕日の撮影で、そのまま撮影した写真では、太陽光の影響もありぼんやりとした写真になります。この場合の対策として、「コントラスト」を上げて、締まりの良い写真に仕上げましょう。
また、明暗差が大きいためシャドウ部が黒く潰れてしまう時がほとんどです。その場合のみシャドウ部の明るさを上げることにより、全体的に落ち着いた明暗差が出る、美しい写真へと仕上がります。
また、ホワイトバランスで調整したオレンジ部の色彩を編集で再度調整することも可能です。彩度をプラスすることで鮮やかな作品へと仕上げることができます。しかし、コントラスト・シャドウ・彩度ともに上げすぎてしまうと不自然な仕上がりになるので注意が必要です。過度に編集しすぎない、調整程度の現像がおすすめです。
左)元画像 右)Lightroomを使用し、写真を整えるためのトリミングを実施。加えてコントラスト・シャドウ・彩度(主にオレンジ部)を上げた例
都内近郊、朝日おすすめ撮影ポイント
Canon EOS 7D, EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM, F10, 1/8000sec, ISO200, 天空橋駅付近
空港からすぐ近く!天空橋駅付近
季節によっておすすめの撮影ポイントは変化しますが、今回は冬場におすすめの「天空橋駅付近」をご紹介します。
京急空港線 羽田空港国際線ターミナル駅、東京モノレール 国際線ビル駅から1駅の天空橋駅から徒歩5分程度の場所に位置する撮影ポイントです。
ここでは羽田空港がすぐ側にある事から、飛行機と朝日を絡められるポイントとして知られています。飛行機までの距離は遠いですが、運が良ければ朝日の中に飛行機が入る時もあります。
11月~1月がシーズンで、千葉県の房総半島方面から朝日が昇ってきます。元旦のご来光時には、多くの人がこの場所を訪れ、1年の始まりを迎えます。
住所:〒144-0043 東京都大田区羽田6丁目11-5
アクセス:京急空港線「天空橋駅」下車徒歩約5分、東京モノレール「天空橋駅」下車徒歩約10分
都内近郊、夕日おすすめ撮影ポイント
Canon EOS 6D, EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM, F10, 1/500sec, ISO1000, 羽田空港第1ターミナル展望デッキ
富士山とのコラボレーションも!羽田空港第1ターミナル展望デッキ
朝日では冬場のおすすめ撮影ポイントをご紹介しましたが、今回ご紹介するのは1年通して夕日を楽しむことができる「羽田空港第1ターミナル展望デッキ」をご紹介します。
朝日のおすすめ撮影ポイントから京急空港線で2駅の「羽田空港国内線ターミナル駅」が最寄り駅となります。第1ターミナル、第2ターミナル共用の駅となるため、電車を降りる際はターミナルの間違いに注意が必要です。
「羽田空港国内線ターミナル駅」到着時は、後方へ進むと第1ターミナルへ行くことができます。そこから6Fに上がると展望デッキがあります。
展望デッキから富士山を見ることができ、年2回のみ富士山山頂に太陽が沈む「ダイヤモンド富士」を展望デッキから見ることができます。西側は見晴らしが良いため、1年を通して夕日鑑賞に適した撮影ポイントです。
住所:〒144-0041 東京都大田区羽田空港3丁目3-2 羽田空港第1ターミナル6F展望デッキ
アクセス:京急空港線「羽田空港国内線ターミナル駅」後方下車後エレベーターにて6F、東京モノレール「羽田空港第1ビル駅」下車後エレベーターにて6F
朝日・夕日撮影のまとめ
Canon EOS 7D, EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM, F10, 1/1250sec, ISO100, 天空橋駅付近
これまで朝日、夕日撮影についてご紹介してきましたが、これらの方法を実践することで簡単に素敵な写真を残すことができます。
- 朝日夕日の時刻と方角を確認する
- 「三脚」と「レリーズ」を持参するとブレを抑えられる
- 朝日は「Av(絞り優先)」、明るくなったら「M(マニュアル)」でシャッタースピードを調整しよう
- 夕日は「Av(絞り優先)」固定で、露出補正をマイナスにして調整し、暗くなったらISO感度を上げよう
- ホワイトバランスで色温度を7000K~8500Kになるように調整しよう
- Lightroomを使ってコントラスト・シャドウを上げて明暗差の調整をしよう
- コントラスト・シャドウ・彩度の上げすぎには要注意
どこでも撮影でき、アイデア次第の朝日・夕日撮影
特定の被写体を求めて撮影するスタイルと異なり、時間さえ分かれば何処でも撮影できる朝日夕日撮影です。
今回ご紹介したおすすめ撮影ポイント以外にも日本全国に朝日夕日の名所はあるので、是非自分好みの撮影ポイントを見つけてください。
また、場所を選ばない撮影のため、撮影ポイントを自ら探すというのも1つの楽しみになると思います。