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一眼カメラだからこそ得意とする撮影条件に「望遠撮影」があります。
望遠レンズを使った撮影は、特定のジャンルにおいては必須の存在で、場合によっては標準レンズよりも使う回数の多いレンズジャンルとなります。
しかし、望遠レンズを使った撮影というのは、一般的な一眼レンズジャンルよりもコツを必要とするため、慣れるまで少し時間のかかるレンズジャンルです。
私自身、飛行機を撮影する機会が最も多く、望遠レンズの使用頻度はとても多いため、今回は経験を踏まえた「望遠レンズの使い方」について解説していきます。
もくじ
被写体を拡大して撮影したいときに使う「望遠レンズ」
近年では、スマートフォンなどのカメラ機能の性能向上も著しく、一眼カメラは必要ないと思われる方も少なくないかもいしれません。
しかし、遠くの被写体を写す「望遠撮影」については、今なおスマートフォンが苦手とする分野で、専用のデジタルカメラでないと撮影できない領域と言えるでしょう。
一眼カメラでは、望遠撮影を行う際に、「望遠レンズ」を使用することで遠くに存在する被写体も大きく撮影することが可能になります。
主に風景、乗り物、動物の撮影に活用される機会が多く、万能なレンズというよりも特定のシーンでの撮影を得意としています。
望遠撮影に特化したレンズであるため、使い方に関しても注意が必要な点が多く、今回の記事ではその辺りも解説していきます。
おすすめの望遠レンズ紹介
[2021最新]おすすめ望遠レンズ13選。実際に使って感じた望遠レンズの魅力や選び方を徹底解説 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
望遠レンズにおける焦点距離の目安
望遠レンズの中でもカバーしている焦点距離の幅は様々です。
はじめに望遠レンズの画角に関して焦点距離域を分けてそれぞれの特徴をご紹介していきます。
焦点距離別の画角についてはこちらでも解説しているので是非ご覧ください。
初心者でもすぐ分かる!実際の写真から「各焦点距離と画角の関係」を徹底解説 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
70mmから100mm
70mmから100mmの領域は、望遠レンズの中でも控えめな望遠域となっており、中望遠と呼ばれています。
望遠レンズでよく使われる手法である「圧縮効果」については、この中望遠域では効果は見込めません。
一方で被写体との距離を近づけることのできるポートレート撮影や旅先などのスナップ撮影では、活用しやすい焦点距離域で、標準ズームレンズなどでも望遠側でカバーされることが多く見られます。
100mmから200mm
100mmから200mmにかけては、望遠レンズらしい画角を感じられるようになってきます。
望遠レンズに属するズームレンズのほぼ全てでこの領域をカバーしており、同時に最も画質の良さが際立つ焦点距離域でもあります。
レンズでは、「テレ端」「ワイド端」などの言葉を使用することが多いのですが、望遠レンズではワイド端からズーム中間の焦点距離辺りでレンズが持つ最高の描写を叶えるとしています。
そのため、この焦点距離域で撮影できる被写体を探して撮影するというのも一つのアイデアとして良いでしょう。
200mmから300mm
200mmから300mmの域になってくると、望遠レンズとしての特性を更に感じやすくなります。
先程から出てくる圧縮効果についても300mmくらいであれば、十分に効果を得ることができる焦点距離になります。
超望遠までは届きませんが、比較的リーズナブルな価格で販売されていることも多く、初心者向けのレンズキットにも含まれることが多いです。
400mm以上
400mm以上の焦点距離を保有するレンズは超望遠レンズと呼ばれており、遥か遠くの被写体も大きく鮮明に写すことができます。
望遠レンズを必要とする撮影ジャンルにおいて、400mm以上の焦点距離を保有しておくことの優位性は非常に高く、乗り物撮影、スポーツ撮影、動物撮影の全てのジャンルで持つべき存在と言えます。
しかし、400mmの焦点距離を超えた途端にレンズとしての価格は高騰し、気軽に購入することが難しくなる問題が生じてきます。
カメラの趣味を始める頃から必要とするレンズ域ではありませんが、撮影を重ねるごとに超望遠の世界に憧れる瞬間が訪れるでしょう。
シーン別に見る望遠レンズの使い方
ここからは望遠レンズがよく使われる撮影シーン毎に使い方のコツについてご紹介していきます。
望遠レンズは、他のレンズジャンルとは異なり、使える撮影ジャンルも限定的となり、それぞれのシーンによっても活用方法が異なってくるレンズです。
風景写真で使う場合
望遠レンズを風景写真で使用する場合、広がる景色のどの部分をクローズアップするかが写真の良し悪しを決めるポイントとなります。
例えば壮大な景色が広がるような場面では、望遠レンズを使うべきではないと言えます。
望遠レンズは、どこかをクローズアップしたり、遠い被写体を大きく写すことを得意としているため、全体を見せる景色などは標準レンズや広角レンズがおすすめです。
一方で景色の中で目立った被写体がある場合や、どこか切り取るべき風景があるときには望遠レンズが活躍します。
先程の通り、望遠レンズは全体を写すよりも何か一つの被写体に絞った撮影に向いているため、風景写真においては、風景の中の何か目立つ被写体がある場合や、前後の被写体で距離があるのにも関わらず同じ大きさに見せる圧縮効果などの撮影に最適です。
初心者でもすぐ分かる「風景写真」の撮り方。機材選びから撮影地、天気の見極め方まで基礎を徹底解説 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
動物写真で使う場合
動物園や鳥など動物の撮影でも望遠レンズは、愛用される傾向にあります。
動物の場合、予測不能な動きの中で連写性能を使用することで当たりを狙うことが大半です。
望遠レンズは、重くなりやすいため、重いレンズを振り回すことで手ぶれが生じやすくなります。
望遠レンズを使って動物撮影を行うときは、シャッタースピードの数値に注意しましょう。
シャッタースピードは、基本的に1/焦点距離が目安となるため、それを下回らないように注意しましょう。
また、室内では必然的に屋外と比べて暗くなるため、シャッタースピードが低下しやすいのでISO感度を上げるなどして対応しましょう。
乗り物など動く被写体の場合
動物とは別に、車や鉄道、飛行機などの乗り物系の撮影においても望遠レンズは定番のレンズです。
動物とは異なり、乗り物系は動きが予測しやすいのが特徴的です。
そして被写体との距離についても場所などの関係性から掴みやすく、焦点距離を絞ったレンズ選択を行いやすいと言えるでしょう。
乗り物系の撮影においても動く被写体を追いかけることになるので、基本的にはシャッタースピードの低下からブレを生じさせることを防ぐ必要があります。
しかし、動きが予測しやすいという特性を利用して、わざとシャッタースピードを遅くして、被写体以外の背景を流す「流し撮り」という手法も乗り物系では人気を集めるスタイルです。
私自身も飛行機をメインの被写体にしているため、望遠レンズでの撮影頻度が非常に高いです。
飛行機の一部分だけを切り取る迫力系のカットから、わざと機体から離れて望遠レンズを使って背景を絡めるカットなど、工夫次第で色々なチャレンジをすることができるのも望遠レンズの魅力です。
望遠レンズを使う上での注意点
望遠レンズは、大きく重いレンズが多くなるため、その分の制約も増え、使用する上で注意が必要なポイントも出てきます。
他のレンズジャンルにはない注意点も多く存在するため、ここから望遠レンズを使う上での注意点について解説していきます。
シャッタースピードに要注意
撮影シーン別の項目でもご紹介した通り、望遠レンズでの撮影はシャッタースピードの値に要注意です。
望遠レンズは、他のレンズジャンルと比較してシャッタースピードの低下による手ぶれが目立ちやすくなり、せっかくの写真を台無しにしてしまう可能性があります。
手ぶれが生じる目安である「1/焦点距離」秒以上を意識した撮影設定を心がけましょう。
また、レンズ側で手ぶれ補正機構が搭載されたモデルも数多く存在するため、レンズ選びの際にも意識して確認されることがおすすめです。
初心者でもすぐ分かる「シャッタースピード」の基本。手ブレを抑えるために使う設定を徹底解説 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
三脚座があるレンズに要注意
望遠レンズの中には、大きさや重さの関係でカメラボディに三脚のシューを取り付けて三脚を使用したときに、ボディとレンズを繋ぐマウント部分に大きく負担がかかることがあります。
最悪の場合、根元部分から折れてしまうこともあり、そうなってしまった場合の損失は非常に大きいものです。
一部の望遠レンズにおいては、マウント部分への負担を軽減させるために、ボディではなくレンズに三脚のシューなどを取り付けることができる「三脚座」が用意されています。
三脚座が取り付けられたレンズを使って三脚を使った撮影を行う時は、カメラボディに三脚のシューを取り付けず、三脚座にシューを取り付ける様にしましょう。
大きく重いレンズが大半
先程からご紹介している通り、望遠レンズは大きく重いレンズとなります。
手ぶれや三脚座の問題もありますが、単純に撮影に対して負担になりやすいことも注意点です。
撮影時に腕や腰への負担になることはもちろんですが、持ち運びにおいても望遠レンズを携帯しておくと重さが一気に増すと言えるでしょう。
近年では軽さが意識された望遠レンズも増えてきているため、レンズ選びにおいても携帯性を意識したモデルを選ぶことがおすすめです。
最短撮影距離に要注意
望遠レンズにおいては、各レンズが性能として保有する最短撮影距離の数値が他のレンズジャンルと比較して長いことも注意点です。
すなわち望遠レンズを使った撮影では、被写体に近づいた撮影を苦手としており、撮影の対象物によっては使い物にならないこともあります。
しっかり自分の撮影対象を見極めて、望遠レンズが本当に必要なレンズであるかどうかを考えてから導入するようにしましょう。
自分に合った望遠レンズの見つけ方
これまで望遠レンズが得意とする撮影シーンや使う上でのコツ、注意点などをご紹介してきましたが、ここからは望遠レンズの選び方についても解説していきます。
一連の流れからお察しの方もいらっしゃると思いますが、望遠レンズに関しては、使う前に自分の求めるレンズ選びが重要になるため、しっかり見極めて自分に合ったレンズ選びを行うようにしましょう。
「明るさ」と「焦点距離」どちらを優先するか
望遠レンズを選ぶ際に大きなポイントとなるのが、「焦点距離」と「明るさ」です。
焦点距離と明るさでどちらの性能を優先すべきかによってレンズの選択肢も大きく変わってくるところです。
とにかく望遠域の拡大感を優先したいとのことであれば、焦点距離を優先すべきでしょう。
夜間の撮影や、より優れたボケ表現力を求める場合は、70-200mm F2.8などの開放絞り値が低い明るいレンズを求めることがおすすめです。
望遠域も明るさを満たしてくれるレンズも存在しないこともありませんが、価格が段違いに高いなど、残念ながら手軽に購入することのできるレンズは存在しません。
手ブレ補正機構を搭載したレンズがおすすめ
手ぶれが生じやすいと先程も解説していますが、その手ぶれをレンズ側で抑制してくれる「手ブレ補正機構」が望遠レンズには搭載されることの多い傾向です。
手ぶれが生じやすい望遠レンズにおいて、手ブレ補正機構の有無は非常に重要で、基本的に手ブレ補正の効果はファインダーを覗いたときから感じられるため、画角の安定化にも繋がります。
手ブレ補正機構の性能も年々向上しており、夜間の撮影など僅かなブレが気になるシーンでも、細かいブレまでしっかり抑制してくれます。
400mmを超えると表現も多彩に
これは個人的な体験のひとつですが、6年ほど前、今のメインレンズとなるEF100-400mmを導入しましたが、その際に400mmの領域に驚いた記憶が鮮明に残っています。
それまで使ったことのある最大の焦点距離は、300mmでしたが、この100mmの差は非常に大きいです。
実際に400mmを使うことのできるレンズは、ある程度レベルの高いレンズとなっており、初心者向けのレンズキットでは表現できない領域です。
ぜひ、望遠レンズでの表現に悩まれている方は、400mm以上の領域を試されることがおすすめです。
400mm以上を保有するおすすめのレンズ
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望遠レンズの使い方まとめ
今回、望遠レンズの使い方についてご紹介してきましたが、これまでの通り、望遠レンズは他のレンズと比較して特異な存在です。
構図に関しては広角レンズなどと比較して特定の被写体のみを考えれば良いため、複数の被写体のバランスを考える複雑さは無いと言えます。
一方で被写体に対して合わせるレンズの選択は非常に重要になり、望遠レンズはレンズ選びの段階が特に重要なポイントになります。
あとは大きく、重いレンズが必然的に多くなるため、手ブレに気をつけることを望遠レンズの撮影では強く意識するようにしましょう。
気になるレンズはレンタルでお試し
気になる望遠レンズに関しては、購入前にお試しでレンタルされることがおすすめです。
望遠レンズの多くは高値が付けられているため、気軽に購入というには敷居の高さを感じるところです。
そして今回もご紹介してきた通り、望遠レンズはレンズ選びの段階が非常に重要になるため、購入前に一度お試しすることで自分に合ったレンズというのを見つけやすくなるでしょう。
Rentio(レンティオ)では、一眼カメラの各マウントに対応する望遠レンズを豊富なラインナップから自由に選んでレンタルすることができます。
是非Rentioを使って失敗しないレンズ選びに役立ててみてはいかがでしょうか。