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初心者向けのキットレンズからのステップアップとして選ばれることの多い「単焦点レンズ」。
SNSなどでも単焦点レンズを使った作品は、ボケを活かした非常に幻想的な仕上がりで「こんな写真を撮ってみたい」を思われた方も多いのではないでしょうか。
単焦点レンズは、名の通り一つの焦点距離しか持たないレンズで、ズーム調整することのできるズームレンズとは異なり画角が固定されます。
表現力豊かなレンズとして人気を集めるものの、より自分の技量が写真に反映されることも特徴的で難しさを感じることもあるでしょう。
今回は初心者でもすぐ分かるシリーズにおける各レンズジャンルの使い方で、「単焦点レンズの使い方」について解説していきます。
もくじ
画角が固定されている単焦点レンズ
単焦点レンズは、焦点距離域をもたない画角が固定されたレンズです。
それゆえにズームレンズと比較して、構図決めが難しく、撮影者のアイディアと技量が試されるレンズでもあります。
一方で、単焦点レンズは、画質が優れていることや、明るいレンズが多くボケの表現性に長けていることがメリットとして存在し、写真表現の一つとして愛される存在でもあります。
初心者向けのレンズキットではあまり付属されることのない単焦点レンズですが、選ばれる理由も数多く存在します。
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単焦点レンズの選び方
単焦点レンズを使う上で、撮影テクニックよりも「どのレンズを使うか」が最も重要なポイントとなります。
先述の通り、単焦点レンズは、画角が固定されることから、自分が撮影したい被写体に合わせてレンズ側の焦点距離を選ぶ必要があります。
ここからは、単焦点レンズを使う上での第一段階となる、「選び方」について解説していきます。
焦点距離が最も重要
単焦点レンズを選ぶ上で、最も重要な選定基準となるのが「焦点距離」です。
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各カメラレンズメーカーでは、様々な焦点距離に対応した単焦点レンズを数多く開発していますが、初心者の方にとっては、どのような違いがあるのか、焦点距離の数値だけ見ても想像できないでしょう。
ここからは単焦点レンズで採用されることの多い、代表的な焦点距離を例に画角を比較してみます。
20~24mm
いわゆる「広角」と呼ばれるのがこちらの約20~24mmの焦点距離域となります。
広々と写したい撮影シーンで活用することができる焦点距離です。
35mm
35mmは、単焦点レンズの中でも人気を集める焦点距離です。
広角の部類に入るものの、少し標準域に寄せた画角が保有しており、日常的に使用しやすい画角を特徴としています。
50mm
はじめて単焦点レンズを購入するのであれば「50mm」が一番おすすめです。
50mmは、人間の視野角に最も近い画角として知られており、眼で見た光景から写したいと思い描いた情景がそのまま写し出される画角です。
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85mm
中望遠域の画角となる「85mm」も単焦点レンズにおいては人気の高い焦点距離です。
望遠域となるため、被写体に近づいて撮影するというよりも、一定の距離感を保った撮影シーンに合っており、背景のボケ表現も出しやすい焦点距離となります。
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135mm
手の届きやすい単焦点レンズとして最も望遠域を保有しているのは「135mm」です。
こちらも85mmの単焦点レンズ同様に望遠域の焦点距離を活かしたボケ味が魅力の一つで、一定の距離感を保ちながら「F1.8」などの明るさを活かした撮影を特徴としています。
これ以上の望遠域を保有する単焦点レンズも存在するのですが、超望遠域になるほど大口径かつ桁違いの金額となってくるため、単焦点レンズは135mm程度が限度と考えておくと良いでしょう。
撮影するジャンルから焦点距離を選択
ここまで単焦点レンズの代表的な焦点距離における画角をご紹介してきましたが、ここからは撮影シーン別におすすめの焦点距離をご紹介していきます。
ご自身が撮影してみたい撮影シーンから焦点距離を選ばれる際に参考にしてみてください。
風景写真
風景写真では「広角」寄りの単焦点レンズを使うことがおすすめです。
そのため先程ご紹介してきた中でも20mmや24mmなどの画角を保有しているレンズがおすすめです。
風景写真においては、一部分を切り取るというよりも全体を写すことでその場の空気感を含めた作品撮影を行うことができるため、なるべく広い範囲を写すことが大切です。
一方で狙いをもって一部分だけを切り取るようなシーンも出てくると思いますが、その場合は臨機応変に望遠域を交えて調整すると良いでしょう。
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星空写真
空一面の星空を写すことにも単焦点レンズの使用がおすすめです。
星空が見える様な撮影環境は、周辺が暗闇で包まれており、明るいレンズが重宝されます。
単焦点レンズは、基本的に開放絞り値が低い明るいレンズであることが大半であることから、星空撮影でも活用されることの多い存在です。
また、星空撮影も広角レンズを使って広範囲を写す撮影が基本で、広角側14~20mm程度の焦点距離域を保有したレンズの使用がおすすめです。
星空撮影において、基本的にMF(マニュアルフォーカス)での撮影となるため、AF機能が搭載されていないレンズも選択肢に入れておくと良いでしょう。
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スナップ写真
日常のワンシーンを切り取るスナップ撮影では、一部分を切り取ることが多いですが、身近な存在を写すことで標準域の焦点距離を保有したレンズがおすすめです。
先ほどご紹介してきた焦点距離の中でも「35mm」「50mm」がスナップ撮影において特におすすめで、適度な距離感を保ちながらボケ味を活かして日常シーンを切り取ることのできる存在です。
35mmや50mmなど、標準域を保有する単焦点レンズには様々なレベルに合わせたレンズが存在し、初心者にも優しい低価格で小型・軽量を叶えるレンズも数多く展開されているため、はじめての単焦点レンズとして選ぶこともおすすめです。
ポートレート
人物撮影となるポートレートでも単焦点レンズは人気を集めています。
人物撮影の場合、人物に近づいて撮影するというよりも一定の距離を保ちつつ、背景をボカした撮影が基本となるため、望遠域を保有したレンズが使用される傾向にあります。
先ほどご紹介してきた焦点距離の中でも「85mm」や「135mm」といった望遠寄りの単焦点レンズが人気を集めており、ポートレート撮影で特に活躍する存在です。
開放絞り値の差もある
焦点距離の違いがメインとなる単焦点レンズですが、各レンズにおける開放絞り値の違いも生じてきます。
基本的には明るさを特徴としており、最も高くてF2.8が一般的な単焦点レンズですが、F1.4やF1.8などの明るさを保有したレンズも数多く存在し、明るさに優れたレンズほど暗所に強く、ボケ表現も自由自在に行うことができます。
レンズ選びの際は、焦点距離だけでなく開放絞り値にも注目して選ぶことで、より自分の理想とする仕上がりに近づけることができます。
単焦点レンズの使い方(基本編)
ここまで単焦点レンズの選び方について長々と解説してきましたが、それだけ単焦点レンズを使った撮影においてレンズ選びが重要になります。
ここからは、単焦点レンズを使った撮影テクニックや注意点についてご紹介していきます。
前述の通り、単焦点レンズは、撮影シーンやレンズによって使い方も大きく変わってくるため、まずは全レンズに共通する基本編として解説していきます。
画角が固定されるため自分が動く必要がある
単焦点レンズをはじめて使う上で最も気を付けなければ「画角」です。
一眼カメラの初心者キットなどに付属されるレンズは、レンズ側で画角を調整することのできるズームレンズが大半ですが、単焦点レンズに場合、レンズにズーム機能が付いていないため、画角が固定されます。
ズームレンズの場合、同じ立ち位置でも焦点距離をレンズ側で調整することで画角を変えることができまずが、単焦点レンズの場合、自分が動く以外に画角を調整する方法がありません。
単焦点レンズは、自分の位置取りが画角を決めるポイントになるため、限られた画角で行動力とアイディアが試されるレンズであるため、構図の勉強にもなる存在です。
明るいレンズが多いことからボケ表現が自由自在
単焦点レンズでは、シンプルな構造を保有したレンズが多いことから、画質の向上だけでなく明るさに優れたレンズが数多く存在します。
ズームレンズでは見ることの無い「F1.4」や「F1.8」のような開放絞り値を保有したレンズが基本的であるため、ボケを活かした撮影も得意としています。
ズームレンズよりもボケ具合が多彩になることから、ズームレンズではボケることのなかった被写体においても、ボケを活かした撮影を行うことができるため単焦点レンズを好んで使用される方も多い印象です。
一方で明るいレンズは光を取り込むことできる量が多くなるため、日中屋外などにおいては最低のISO感度を指定していても露出オーバーに注意が必要です。
F1.4等のレンズを日中屋外で使用すると、強力なボケ味を実現する一方で画像が正しい明るさに収まらないこともあるので露出も確認しながら撮影を行うようにしましょう。
ピントを合わせる位置に要注意
ボケやすい特性であることと関連して、ピントを合わせる位置も敏感になります。
特にF1.4やF1.8を指定した撮影の場合、ピントが合う範囲が非常に狭くなるため、ピントを合わせたと思った位置から少しでもピントがズレてしまった場合、本来ピントを合わせたかった部分がボケてしまうという仕上がりになります。
カメラ側のAF設定では、追随するモードではなく、しっかりピントを固定することのできるシングルAF、ワンショットAF(キヤノン呼称)を選択して撮影する様にしましょう。
場合によってはオートフォーカスを使用することなく、マニュアルフォーカスでピントを合わせることも正確なピント合わせに役立つ撮影テクニックの一つです。
単焦点レンズの使い方(撮影シーン別)
何度もご紹介してきた通り、単焦点レンズを使った撮影は、使うレンズや撮影シーンによって使い方も異なってきます。
ここからは、単焦点レンズが使われることの多い撮影シーン別に単焦点レンズの使い方や撮影テクニックをご紹介していきます。
風景撮影
壮大な風景を写す撮影にも単焦点レンズは活用することができます。
レンズ選択の章でもご紹介した通り、広角側の焦点距離を保有したモデルがおすすめで、広角の画角を活かした広々とした空間を写し出すことができます。
広角系の単焦点レンズを使い、広々とした風景を写す際には「F値」を上げて、全体にしっかりピントが合うようにしましょう。
風景写真の場合、山や建物、空模様などが主役になることが多いですが、これらの被写体に対しては距離が遠い場合が大半であるため、自分が動くことによる画角の変化は少ないため、カメラの向きに注意する必要があります。
ポートレート撮影
「明るさ」を特徴とした単焦点レンズですが、人物を撮影する「ポートレート撮影」では最も使われる存在と言えるでしょう。
ボケを活かした撮影の多いポートレート撮影では、F値の低い単焦点レンズが重宝され、繊細な描写を得意とする性能とともに愛用される傾向にあります。
レンズ選択の章でもご紹介した通り、ポートレート撮影においては、人物と近すぎず、遠すぎない距離感が重要となるため、標準域となる「50mm」や「85mm」のレンズが特に使用されます。
ボケを活かした撮影を行うために絞り優先モードを使用し、「F値」を下げた設定がおすすめですが、F1.4やF1.8など極端に低い数値にすると、ピントを合わせた人物だけでも僅かな立体感でボケてしまう可能性があるため、F値の下げ過ぎにも注意しながら、適度なボケ味が出るように試し撮りを行うなど、調整しましょう。
スナップ撮影
日常生活や街中での何気ない風景を撮影するスナップ撮影でも、単焦点レンズは活躍します。
スナップ撮影では広角から標準域まで基本的にどのレンズを使用しても撮影を楽しむことのできるレンズですが、単焦点レンズは基本的に小型・軽量であることから、持ち歩きが楽になる時点でスナップ撮影にはおすすめの存在です。
スナップ撮影も単焦点レンズだからこその「ボケ」を活かした撮影を行うことがおすすめです。
メインとなる被写体に加えて、ボケ表現を行うための背景選びも重要になってきます。
また、街中など広々とした場所では、F値を下げることで被写体の前後をボカすことで作品としての表現が豊かになるため、私自身も良く実践するテクニックの一つです。
乗り物・スポーツ撮影
乗り物やスポーツ撮影においても単焦点レンズを活用することはできますが、これらの被写体は距離があるため、望遠レンズを必要とすることが一般的です。
単焦点レンズにおいても望遠域をカバーしたレンズが数多く存在しますが、300mmを超えるような単焦点レンズは、非常に高価格であることが大半で、広角や標準域で手軽に使えるレンズとは大きな差があります。
それでもズームレンズと比較して画質が大幅に向上にするため、使用される方も多いです。
単焦点レンズであることで画角が固定されるため、動きのある被写体に対してはフレームアウトしないように注意する必要があります。
場合によっては被写体の一部だけを切り取る必要もあるため、事前にどのような構図で撮影すべきかイメージを持った上で撮影する様にしましょう。
また、望遠レンズでの撮影は、手ブレにより気をつける必要があり、シャッタースピードの低下にも注意する様にしましょう。
初心者でもすぐ分かる「望遠レンズ」の使い方。癖のある望遠撮影の注意点やテクニックを徹底解説 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
表現力が試される単焦点レンズを使った撮影に挑戦
「初心者でもすぐ分かる」シリーズ、今回は単焦点レンズの使い方についてご紹介してきました。
画角が固定されることによる難易度の高さは実際に使ってみて初めて感じることかと思います。
写真が好きで作品としての撮影を楽しみたい方にとっては単焦点レンズを使った撮影がおすすめで、撮影技術を経験とともに向上させることのできる存在です。
そして持ち前の解像力と、美しいボケ表現から、自分の理想へと近づけるレンズでもあります。
今回ご紹介してきた通り、単焦点レンズを使った撮影は、撮影対象やシーンによって使うべきレンズが異なってくるため、まずは自分の撮影したい被写体に合ったレンズ選びから気を付けるようにしましょう。
気になるレンズは気軽にレンタルできる
今回ご紹介してきた単焦点レンズですが、お試しで使ってみることもおすすめです。
撮影シーンによってはズームレンズで十分だと感じることも少なくないため、単焦点レンズを使ったことのない方は、カメラ機材のレンタルサービスを利用してお試ししてみることも一つです。
単焦点レンズは、比較的安価で購入することのできるレンズも多く存在しますが、せっかく購入しても使わないことがあれば、勿体ない買い物となります。
Rentio(レンティオ)では、豊富な単焦点レンズラインナップを取り揃えており、最短3泊4日から気軽にレンタルすることができます。
是非この機会にRentioで単焦点レンズをお試ししてみて、表現力豊かな単焦点レンズの魅力を体感されてみてはいかがでしょうか。