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航空機の写真撮影を中心に活動している、写真家 Atsushi Yoshiokaです。
今回は私自身の専門分野である動体撮影についてご紹介していきます。
もくじ
動体撮影の特徴
数多くの撮影スタイルが存在しますが、動く物の撮影というのは他のスタイルに比べて特殊な分野だと思います。その理由として、カメラを振り回すことや体を大きく動かす事があげられます。ポートレートや風景写真は、構図を決めて撮影することが多いですが、動く物の撮影に関しては構図を決めることは困難です。被写体を追いかけて撮影する特殊な技術が必要となります。
今回は、私が専門とする「飛行機」を動く物の代表として撮影テクニックをご紹介していきます。
動きが予測できるものか
予測できない被写体は難易度高め
動体撮影においても種類が分かれます。一つは動きが予測できる被写体(一直線に進む、主に乗り物系)、もう一つは動きが予測できない被写体(鳥や子供などの動物系)です。
後ほど記載しますが、動きが予測できるものに関しては、動きの通りカメラを振るのも一つですが、来る位置を予測してファインダーに入ってくるのを待つという撮影方法もあります。風景と絡めたい時などはこちらの方法が有効的です。
動きが予測できないものに関しては、常にファインダーに被写体をおさめる勝負になります。正しいAFモードを設定し、冷静に追いかけることが大切になりますが、難易度は高めです。
適切なAFモードを使おう
動体撮影をする際、設定で最も重要になってくるのはAFモードです。静止している被写体に有効的な「ワンショットAF」では、一度合わせたピントからずれることはありませんが、被写体が動くことでピントは合わなくなってしまいます。
AIサーボAFが効果的
動体撮影で効果的となるAFモードは「AIサーボAF」です。「AIサーボAF」は、シャッターボタンを半押しにした状態の間は、ピントを自動で合わせ続けるという機能です。動体撮影にはこのモードがおすすめで、被写体がどれだけ動いてもファインダー内に被写体が存在すればピントを合わせ続けてくれる便利な機能です。
しかしこの「AIサーボAF」にも欠点があります。背景に色々な物体がある場合、ピントが背景に合ってしまうことがあります。一度背景にピントが合ってしまうと、背景のピントを追い続けるので、その場合は一度シャッターボタンから指を離し、再び被写体にピントが合うようにピント合わせをしましょう。
連写機能を効果的に使おう
動体撮影では、どの場面がベストショットか、という判断が難しくなります。その際は、カメラの連写機能を使って決定的瞬間を逃さないようにしましょう。カメラのドライブ設定から連続撮影モードを選択し、撮影しましょう。
カメラにより連写速度は異なりますが、エントリーモデルで3コマ/秒~5コマ/秒、Canon 7D mark IIなど動体撮影に強いモデルになると10コマ/秒という速度も実現できます。
上の画像では、連写撮影をすることで飛行機の良い瞬間の一つである、離陸の様子を撮影することができました。連写中は焦点距離を変えられないため、後ほどにも記載がありますが、構図に余裕を持たせましょう。
常に被写体を意識
連写中もファインダー内で被写体を逃さないように気をつけましょう。シャッターを切る度にファインダーは暗くなるため、被写体を逃しがちです。連写機能は“ここぞ”という瞬間に使うと良いでしょう。
シャッタースピードを意識しよう
動体撮影で重要になる設定の一つで、「シャッタースピード」があげられます。「シャッタースピード」は、シャッターを開けている時間で、開けている間は、シャッターに動きが記録されるため、一瞬を切り取るためにはなるべくシャッターが開いている時間を短くする必要があります。
シャッタースピード優先モードに設定
ここではカメラのモードをダイヤルで「シャッタースピード優先モード」に設定し、「シャッタースピード」を意識した撮影を心がけましょう。
一般的にブレを抑えられるシャッタースピードとして、1/(焦点距離)秒とされていますが、飛行機の場合は、背景の流れやブレを防ぐためにも1/1000秒はほしい所です。
しかし、背景を流す「流し撮り」の撮影ではあえてシャッタースピードを落とします。シャッターを開けている間は、被写体を動かしてはいけないので、カメラを被写体の動きに合わせるように動かすための技術が必要です。「流し撮り」は1/30秒を下回ると急激に難易度が高くなりますが、カメラを固定させることや、ブレをなくす良い練習になります。
動体撮影でのカメラの構え方
上半身を使ってレンズを振る
基本的なカメラの構え方と大きな違いはありませんが、動体撮影では体の姿勢を意識しましょう。
足は肩幅ほど開くようにし、上半身全体をひねり、被写体への動きに対応しましょう。足で土台を作るようにすると、構図や傾きが安定して、ブレも少ない良い写真を撮ることができます。姿勢が悪いと身体の無駄な動きによりブレや傾きが生じます。
構図に少し余裕を持たそう
動体撮影では、動きの速い被写体もあるため、追いかけてもファインダーに収まりきらないことがあります。それを防ぐためにも少し引いて、構図に余裕を持たせて撮影しましょう。
慣れない内の飛行機などの撮影ではフレームアウトしやすくなります。画面に機体が2機分入る程度の構図が最初はおすすめです。
また、構図に余裕を持たせることで、現像時のプロファイル補正や傾き修正時に余白で融通が利きます。
追いかけるだけが全てではない
これまで動体撮影において追いかける方法をご紹介してきましたが、追いかけるだけが動体撮影の全てではありません。冒頭でも記載しましたが、動きが予測出来る場合は、構図を決めて入ってくるのを待つのも方法の一つです。
「置きピン」を効果的に使おう
美しい風景が目の前に広がるとき、ちょうど被写体がそこへ入ってきそうだと思った場合は、「置きピン」を使った撮影方法を選びましょう。「置きピン」とは、あらかじめ被写体が通る場所にピントを合わせて、被写体が入ってくるのを待つ方法です。この場合は、AIサーボAFを中止し、ワンショットAFへ変更しましょう。もしくはピントを合わせた時点でMFへ変更し、ピントを固定するのも一つです。
作例では、上空を飛ぶ飛行機を撮影する際、構図を決めて「置きピン」で撮影しました。このような場合も連写機能が優れていると、とても有利になります。
まとめ
動体撮影は、きわめて特殊な撮影スタイルになると思われます。しかし、意外にも使う場面は多く、お子様の運動会や遠足などの身近な撮影でも動体撮影の技術が活かされます。
以下がまとめです。
- AIサーボAFでピントを常に外さないようにしよう
- 連写機能を使い、決定的瞬間を逃さないようにしよう
- シャッタースピード優先モードを使おう
- シャッタースピードはなるべく早めに設定しよう
- 自分を三脚に見立てて正しい構え方をしよう
- 構図に少し余裕を持たせてフレームアウトが無くなるようにしよう
- 「置きピン」を上手に利用して、理想の構図で撮影しよう
動体撮影の技術を身につけることで新たな視点で撮影をすることができると思います。
これを機に動く被写体を綺麗に撮影してみませんか?