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ポータブル電源を使う上で意外と手間に感じるのがバッテリー本体の充電時間。容量が多ければ多いほど、フル充電までに8〜10時間かかるのは当たり前です。
ですが、2020年に創業したばかりの新興ポータブル電源メーカー「CAENTA(カエンタ)」より、バッテリーそのものを交換することで充電時間を短縮する革新的な製品が登場しました。
そこで、この記事では「CAENTA」のポータブル電源ブランドであるELECAENTA S600Wの特長と実機レビューをまとめました。
もくじ
ELECAENTA S600Wの特長
「ELECAENTA S600W」で最もユニークなポイントは予備バッテリーを用意することで交換できることにあります。
予備バッテリーに交換することで本来の充電時間を短縮できるほか、万が一の非常用電源としても安心できます。
具体的なスペックも確認しながら「ELECAENTA S600W」の特長を確認してみましょう。
交換できるバッテリー
交換できるバッテリーは「ELECAENTA S600W」のアイデンティティです。ポータブル電源の中でもとても貴重な特徴と言っても良いでしょう。
「ELECAENTA S600W」の純正バッテリー単体でもそれなりの値段はしますが、次のようなメリットに魅力を感じる方は買いです。
- 最低限の荷物でバッテリー容量を2倍にできる
- バッテリーが切れても30秒程度でフル充電状態にできる
- バッテリー単体でも充電可能なので1回の充電時間で2つ以上用意できる
- バッテリー寿命によるポータブル電源の買い替えが不要(バッテリー交換だけで安上がり)
以下は交換電池のスペックです。
項目 | スペック |
---|---|
バッテリー容量 | 200,000mAh / 740Wh |
入力 | DC:11-28V/10A(最大200W) |
環境温度 | 充電温度:-10度〜45度 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) |
約120mm×250mm×70mm |
重さ | 約4.0kg |
公式税込価格 | 53,800円 |
通常充電も2〜3時間で満タンに
予備バッテリーがあれば交換するだけですぐフル充電状態で使えるようになりますが、通常充電も早いのが「ELECAENTA S600W」の特長です。
ACアダプタで家庭用コンセントから充電した場合は3〜4時間、100W出力のUSB PD専用ケーブル(別売)と電源アダプタ(別売)も併用すれば、2〜3時間のフルスピード充電が可能です。
以下表は各充電方法とその目安時間をまとめたものです。
充電時間(目安) | 充電方法 |
---|---|
2〜3時間 | ACアダプタとUSB-Cの同時充電(最大300W) ※100W USB PD専用ケーブルと電源アダプタ利用時 |
3〜4時間 | ACアダプタ |
7〜8時間 | シガーソケット, USB-C(100W入力の場合) |
8〜10時間 | 120Wソーラーパネル ※日照時間を考えると実質2日間以上が必要 |
最大600Wの定格出力
「ELECAENTA S600W」のAC定格出力は600W(瞬間最大1,200W)です。
モバイル端末や電気毛布の利用をはじめ、小型の家電製品の充給電に適したパワーを有しています。持ち運びもしやすいので、リモートワークの電源にも向いています。
同程度のバッテリー容量を搭載するポータブル電源だと定格出力500Wの製品が多いのですが、100W高いだけで使える電化製品も増えますので評価できるポイントです。例えば消費電力600W前後の製品が多いコーヒーメーカーも、「ELECAENTA S600W」の許容範囲となります。
なお、定格出力はあくまでもACポート2口の合計出力となりますので、同時接続で利用する際は各家電製品の消費電力に十分お気をつけください。
AC出力は純正弦波で安心
AC出力は家庭用コンセントと同じ「純正弦波(正弦波)」を採用し、また定格周波数も50/60Hzの両方に対応しています。定格電圧は110V±10%となっているため、日本で一般的な100Vの家電製品も問題なく使用できます。
またAプラグの形状がタンデムタイプになっておりますので、エアコンでよく見かける3本ピンの電源プラグも使えます。
USB-Cは最大100W出力の急速充電規格に対応
「ELECAENTA S600W」のUSB-Cは最大100Wの「USB PD」、USB-Aは「Quick Charge 3.0」の急速充電規格に対応しています。
急速充電規格に対応するモバイル端末やノートPCのフルスピード充電も可能です。専用の充電ケーブルも必要になりますので、急速充電を使いたい方は別途用意しておきましょう。
200,000mAh(740Wh)の大容量
「ELECAENTA S600W」のバッテリー容量は200,000mAh(740Wh)です。
ポータブル電源としてはAnker PowerHouse II 800やJackery 700と並ぶ大容量モデルとなります。
以下表に充給電製品とその使用可能時間/回数をまとめましたので参考にしてください。(使用機器の残バッテリーや状態、使用状況によって異なります)
使用機器 | 給電回数/使用時間 |
---|---|
iPhone 12(10.78Wh) | 約55回 |
MacBook Air(50Wh) | 約12回 |
LEDライト(30W) | 約20時間 |
電気毛布(60W) | 約10時間 |
車載冷蔵庫(100W) | 約6時間 |
電気ケトル(500W) | 約14時間 |
10台同時に充給電が可能
「ELECAENTA S600W」には充給電ポートが全部で6種類、10ポートあります。
出力も入力も全て製品正面にまとめられておりますので、使いやすいインターフェースになっています。
3つのボタン(AC出力/DC出力/USB出力)でそれぞれ出力のオン/オフを切り替えることで、使わないときの不必要な電力消費を防ぐことができます。
ポート種類 | ポート数 | 合計最大出力 |
---|---|---|
AC出力 | 2口 | 600W(瞬間最大1,200W) |
USB出力 | USB-A(QC 3.0):3口 USB-C(PD):1口 |
最大148W(USB-C合計100W+USB-A合計48W) USB-A×1:最大24W(5V/3A, 9V/2A, 12V/2A) USB-A×2:最大24W(5V/3A, 9V/2A, 12V/2A) ※1ポートなら15W(5V/3A) USB-C×1:100W(5V/3A, 9V/3A, 12V/3A, 15V/3A, 20V/5A) |
DC出力 | シガーソケット:1口 5.5×2.1mm DCプラグ:2口 |
合計最大120W(12V/10A) シガーソケット:120W(12V/10A) DC×2:60W(12V/5A) |
XT60出力 | 1口 | 最大630W(15-21V/30A) |
コンパクトなサイズ感
「ELECAENTA S600W」は大容量のバッテリーを搭載しながらも、コンパクトなサイズに収まっています。
写真は216,000mAh(778Wh)のバッテリー容量を持つAnker PowerHouse II 800と並べたものですが、「ELECAENTA S600W」のほうが一回り小さいことが分かります。
もちろん「Anker PowerHouse II 800」は2種類のライト機能も搭載しているため単純比較はできませんが、サイズ感重視でポータブル電源を選びたい方には見逃せないポイントです。
製品スペック一覧表
「ELECAENTA S600W」の製品スペックを一覧表にまとめました。
項目 | スペック |
---|---|
バッテリー容量 | 200,000mAh / 740Wh |
AC出力 | 2口:600W (110V/5.45A, 瞬間最大1,200W) |
対応周波数 | 50/60Hz |
USB出力 | 最大148W(USB-C合計100W+USB-A合計48W) USB-A×1:最大24W(5V/3A, 9V/2A, 12V/2A) USB-A×2:最大24W(5V/3A, 9V/2A, 12V/2A) ※1ポートなら15W(5V/3A) USB-C×1:100W(5V/3A, 9V/3A, 12V/3A, 15V/3A, 20V/5A) |
DC出力 | 合計最大120W(12V/10A) ※1口あたり シガーソケット:120W(12V/10A) DC×2:60W(12V/5A) |
XT60出力 | 最大630W(15-21V/30A) |
DC入力 | 最大300W DC:200W(19.5V/10.25A) USB-C:100W(5V/3A, 9V/3A, 12V/3A, 15V/3A, 20V/5A) カーチャージャー:120W(12V/10A) ソーラーパネル:100W〜300W(12V-24V) |
環境温度 | 動作温度:-10度〜45度 充電温度:-10度〜45度 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) |
約160mm×290mm×198mm |
重さ | 約7.5kg |
公式税込価格 | 89,800円 |
ELECAENTA S600Wの実機レビュー
「ELECAENTA S600W」の外観や使用感のレビューを紹介します。
初めて実機を見たときは「小さくてイケてるデザインだなぁ」というのが第一印象でした。他社の同じバッテリー容量の製品と比べても、携帯性や収納性が優れていると感じます。
ポータブル電源の実力としては記事後半出力テストをまとめまいたので、そちらも参考にしてください。
外観レビュー
「ELECAENTA S600W」の特長の1つにコンパクトさを取り上げましたが、正面にまとまった充給電ポート、後面のファン通気口、両側面に「ELECAENTA」のロゴとシンプルな見た目も特長の1つと言えるかもしれません。他社製のポータブル電源とは少し異なり、従来のポータブル電源らしさのない、丸みを帯びたプロダクトデザインも「ELECAENTA S600W」の個性です。
ファン通気口も1つだけなので、設置場所を考えるときに後面を塞がないようにスペースを空ければ問題ありません。(動作音の検証結果はこちら)
底面には四隅にゴムパッドがあり、安定しておけるようになっています。
持ち手のハンドル部分
ハンドル部分は固定式で折りたたむことはできませんが、少しくぼんでおりますので1〜2個くらいであればずり落ちないので活用できます。
持った印象ですが、「ELECAENTA S600W」の重心が後面側にあるので、初めはバランスに違和感を覚えるかもしれません。ハンドルの中央よりも正面側をつかみ、少しぶら下げるイメージで持つと楽に持ち運びできます。
大きな液晶ディスプレイ
「ELECAENTA S600W」には大きな液晶ディスプレイが搭載されており、出力値/入力値、バッテリー残量をひと目で把握することができます。
またディスプレイの明るさも2段階で用意されており、充電中やボタン操作時は明るく、一定時間使わなければ薄暗く変化するようになっています。
昼間だけでなく、夜間の確認もしやすいので便利です。
「ELECAENTA S600W」は50Hz/60Hzどちらにも対応しております。AC出力ボタンを15秒長押しすると周波数を切り替えることができます。
ライト機能はなし
ちなみに「ELECAENTA S600W」にライト機能は搭載されておりません。
ライト機能が搭載されたポータブル電源が欲しいならAnker PowerHouse II 800のような製品も検討するか、必ず充電式のLEDランタンや懐中電灯も忘れずに備蓄しておきましょう。
同梱するセット内容
「ELECAENTA S600W」に同梱するセット内容は以下のとおりです。
本体バッテリーに最大200Wの電力を供給するだけあって、他社メーカーに付属する電源アダプタよりも一回り大きいです。
USB-Cの最大100Wを引き出すなら、専用ケーブルや電源アダプタは別途購入する必要があります。
- ELECAENTA S600W本体
- ACアダプター
- 電源コード
- 車載用シガーソケット
- 取扱説明書
パススルー充電に対応
「ELECAENTA S600W」はパススルー充電にも対応しています。ポータブル電源本体を充電しながら接続機器へ充給電もできるので一見便利そうではありますが、バッテリーを劣化させてしまう原因にもなります。
またどうしてもパススルー充電を利用したい場合は、消費電力が200Wを超える電化製品は控えましょう。バッテリー本体の過熱原因になります。
必要性がない限りは極力利用を控えるようにしてください。
ソーラーパネルは純正品120W出力モデルを
「ELECAENTA S600W」でソーラー充電を行うなら、純正品の120Wソーラーパネルも一緒に購入されることをおすすめします。
フル充電まで8〜10時間かかりますので、日照時間を考えれば快晴日で2〜3日かかりますが、電源を確保できない環境や状況下では役に立ちます。
純正品なので、ポータブル電源との互換性を考えずに使えるためおすすめです。
ELECAENTA 120Wソーラーパネルを実機レビュー!高出力、コンパクトサイズ、高い汎用性に魅力 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
30秒で終わるバッテリー交換
「ELECAENTA S600W」のバッテリー交換は非常にカンタンで30秒もあれば完了します。
ただし、バッテリーを固定するためのダイヤルネジが少しカタく、予備バッテリーもそれなりの重さになりますので、交換する際は極力男性が行ったほうがよいかもしれません。
- 底面にあるダイヤルネジを緩める
- ベルトを掴んでバッテリーを引っ張り出す
- 予備バッテリーと交換する
- ダイヤルネジでしっかり締め直す
交換バッテリーの充電
「ELECAENTA S600W」の交換バッテリーは単独でも充電可能です。DC入力に対応するACアダプター・カーチャージャー(シガーソケット)・ソーラーパネルを利用できます。
交互に充電すれば、ポータブル電源を途切れることなく利用することができます。
ELECAENTA S600Wの出力チェック
実際に「ELECAENTA S600W」を使ってスマホ・ノートPC・消費電力の高い家電製品を繋いで実際の出力を検証しました。
検証に用いたのは残バッテリーの少ないiPhone 11 Pro(USB PD)、OPPO Reno3 A(QC 2.0)、MacBook Pro(13インチ USB PD)、消費電力600Wのコーヒーメーカーです。
「Quick Charge 3.0」の急速充電規格に対応しているUSB-Aは3口ありますが、一番下(以下USB-A①)は1口で最大24W、その他(以下USB-A②)は2口合計で最大24Wと最大出力が異なるため、USB-A同士でも比較してみました。
※出力結果は機器の充電状況や動作環境によって変動するため、記載の結果はあくまでも弊社で行った時の確認結果となりますことを予めご了承ください。
USB-Aの出力
「Quick Charge」は後方互換性があるので、QC 2.0の「OPPO Reno3 A」(バッテリー残量10%以下)で出力を検証した結果が表の通りです。QC対応の端末でフルスピード充電するなら、単一出力の高い一番下のUSB-Aポートを使ってください。
ちなみに、家庭用コンセントだと約16.8W(9.15V/1.84A前後)の出力で充電できることを考えると、ポータブル電源のバッテリー残量や環境によっては、スペック値どおりの出力を得られないことも覚えておくべきでしょう。
USB | 出力数 |
---|---|
USB-A① | 約12.5W(7.69V/1.63A前後) |
USB-A② | 約10.5W(9.08V/1.16A前後) |
残バッテリー10%以下の「iPhone 11 Pro」で検証したところ、2つのUSB-Aで出力の差は見られませんでした。QC非対応端末なら基本的にどのUSB-Aポートでも同じように使うことができます。必要な入力値が大きい端末の時のみ、一番下のUSB-Aポートを使うとよいでしょう。
USB | 出力数 |
---|---|
USB-A① | 約8.4W(5.00V/1.68A前後) |
USB-A② | 約9.2W(5.03V/1.83A前後) |
USB-Cの出力
残バッテリー30%以下の「MacBook Pro(13インチ, 2017)」を繋いだ約56.8W(19.6V/2.90A前後)の出力と家庭用コンセントに繋いだ時とほぼ同じ出力を確認することができました。
最大100W出力に対応しているだけあって、16インチのMacBook Proでもフルスピード充電できるパワーが十分あります。
USB-Aとの出力を比較するためにPD対応のUSB-C to Lightningケーブルを使って「iPhone 11 Pro」でも検証しましたが、USB-Aと比べて約2倍の出力も確認できました。
接続端末 | 出力数 |
---|---|
iPhone 11 Pro | 約16W(8.80V/1.82A前後) |
MacBook Pro | 約56.8W(19.6V/2.90A前後) |
600Wのコーヒーメーカーの場合
消費電力600W(AC100V 50-60Hz)のコーヒーメーカーを使った際、700Wを超えてから10秒経った後に過負荷保護のアラームが鳴り停止されました。
このように消費電力が定格出力内だったとしても、動作開始時などに多くの電力を使うケースも多いため気をつけなければいけません。キャンプやアウトドアに持っていく際には、事前に動作状態を確認しておくと良いでしょう。
ちなみに、同じく定格出力500WのJackeryのポータブル電源 700だと、今回検証に使ったコーヒーメーカーでも問題なく使えました。
メーカーによって定格出力のバッファが異なりますが、「ELECAENTA S600W」は650Wくらいまでなら使えるよう設計されています。
空冷ファンの動作音
「ELECAENTA S600W」はファンの稼働音が比較的小さいように思います。
通気口側だと71.4dB(セミの鳴き声ややかんの沸騰音くらい)と少々うるさいですが、充給電ポートがまとまっている正面側なら59dB(車のアイドリングやトイレの洗浄音くらい)です。
ファン通気口の位置さえ気をつければ、夜間にAC出力を使ったとしてもあまり気にならないレベルだと思います。車中やテントで利用する際の参考にしてください。
新たな定番となりうるポータブル電源
これまで500Wh〜1,000Wh未満で定番のポータブル電源といえば、Jackery 700だったのですが、それに引けを取らないスペックに加えてバッテリーを交換できる独自性を考えれば、「ELECAENTA S600W」は新たな定番となりうると筆者は確信しています。
故障しない限り、バッテリーを交換し続ければ延々と使い続けられる「ELECAENTA S600W」は次世代のポータブル電源と言えるでしょう。
ポータブル電源はレンタルできる
キャンプ、車中泊、アウトドア、イベントに短期間だけでもポータブル電源を使うならレンタルもおすすめです。
家電レンタルのRentio(レンティオ)では、3泊4日からポータブル電源やモバイルバッテリーのレンタルが可能です。
借りた製品が気に入った場合「そのまま購入」することもできますので、まずはお試しでレンタルするのもおすすめです。
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