SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM実写レビュー。私が思う超望遠の完成形を体現した最新レンズ
更新日2024/07/17
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かつては手の届きにくい存在であった超望遠レンズの分野。
近年ではコストを抑えて超望遠レンズを使うことができるほど、レンズラインナップが充実してきました。
その中でもシグマやタムロンが開発するサードパーティー製レンズの存在はレンズ史においても絶大な存在であることは間違いないでしょう。
今回はサードパーティー製レンズメーカーであるシグマから新製品として2018年10月に発売となったSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMを実際に使用して、作例とともにレビューしていきます。
もくじ
超望遠の質は向上し続ける新たな選択肢
ここ数年で焦点距離400mmを超えるような超望遠レンズの選択肢は大幅に増えた印象です。
これまでは超望遠レンズは純正レンズが基本であり、サードパーティー製レンズは望遠側などで満足いく解像力を得ることは困難でした。
サードパーティー製レンズは技術の問題もありましたが、コスト面でも抑える必要があり、上質な超望遠レンズの開発は困難でした。
しかし、ここ数年ではサードパーティー製レンズメーカーも技術力をつけ、コストを抑えたまま超望遠レンズとして実用的なモデルの開発に成功しています。
シグマでも今やベストセラーモデルとなった150-600mm F5-6.3 DG OS HSMなど、超望遠レンズの市場において圧倒的な存在感を示しています。
SIGMAの高品位「Sports」ライン
近年解像力を特徴とするレンズの発売が目立つシグマですが、今回ご紹介するSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMは、シグマにおいて上位シリーズとなる「Sports」に属します。
広角レンズや標準レンズでは「Art」のシリーズでラインナップが展開されていますが、望遠以上のレンズに関しては「Sports」のシリーズで上位モデルが展開されています。
先日Rentio PRESSにてご紹介した70-200mm F2.8 DG OS HSMも上位シリーズ「Sports」に属すレンズとなっています。
Sportsラインで展開されるレンズは、解像度に優れているだけでなく、AF性能やフレア・ゴースト耐性、手ブレ補正などレンズにおいて重要な様々な性能で高いレベルを実現しています。
外観レビュー
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMの外観は想像以上の大きい印象を受けました。
ここからは実際に使用した感覚を基に、大きさ・重さなど外観面などを徹底レビューしていきます。
超望遠レンズとして巨大なサイズ
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMのサイズ感は想像以上に大きいと考えておいたほうが良いでしょう。
長さとしてはこれまでの王道モデルである150-600mm F5-6.3 DG OS HSMと大きな違いを感じることはありませんが、太くなったレンズ筒によってサイズ感は増幅されたように感じます。
望遠レンズの中でも重く感じる質量
そして重量は約2,700gと、普段から望遠レンズを使い慣れている私でも長時間の撮影は疲労感を感じるほどの重量感です。
しかし、後ほどご紹介しますが、写真の仕上がりとしては極めて優れた描写力を保有しているため、高性能を実現するための巨大化と考えるべきでしょう。
フィルター径は超大型の105mm
先ほどレンズの筒が太いとご紹介しましたが、それに伴ってフィルター径も大きくなっています。
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMのフィルター径は105mmと大口径レンズの分類に入ります。
アクセサリー関連に注意
高画質を実現するために超大型化されたフィルター径ですが、PLフィルターやプロテクターはこのサイズを購入する場合、非常に高価となるため注意が必要です。
レンズキャップもこのサイズはなかなか存在しないため、紛失などが無いように撮影時は気を付ける必要があるでしょう。
レンズフードはネジ固定型
一般的な望遠ズームレンズでのレンズフードの装着は、レンズにはめ込む形で回転させることで固定されますが、こちらのSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMのレンズフードはネジによる固定型となります。
大きさや重さなどを含めて、SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMは単焦点レンズに近い外観や操作性と考えても良いでしょう。
AFや手ブレ補正、シグマ基本の4つのスイッチ
レンズ側面にはAF、手ブレ補正、撮影距離範囲を設定する3つのスイッチと、それぞれ設定した状態を保存できるカスタマイズのスイッチ、合計4つのスイッチが搭載されています。
このスタイルはこれまでシグマから発売されてきたレンズと同様のスタイルで、基本となっています。AFや手ブレ補正の効果については後ほどご紹介していきますが、切換において難しさを感じることはないと言えるでしょう。
レンズ性能レビュー
非常に巨大なレンズであることがお分かりいただけたと思います。
ここからは大きいレンズに対して、どれだけ描写能力で優れているかを実際の作例からレビューしていきます。
日頃、私のメインとなる被写体は「飛行機」となり、超望遠レンズの出番は最も多いです。果たしてSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMは、超望遠レンズとして優れているのか解説していきます。
幅広い60mmから600mmまでの焦点距離
私がSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMの発表を聞いて驚いたのは焦点距離の幅の広さです。
広角側60mmから望遠側600mmまで対応するレンズはこれまで存在せず、600mmの焦点距離を保有するような超望遠レンズは、超望遠でしか使い道のない存在でした。
しかしSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMでは、広角側も60mmと中望遠域であることから画角の幅が大きく広がりました。
広角側・望遠側の両端で優れた描写を実現
通常、これだけ焦点距離の幅が広い望遠レンズは、画質の面で難があることが大半です。
実際に広角側から望遠側まで1本で対応する高倍率ズームレンズは、持ち運びなどで利便性の高いレンズですが、歪みがひどかったり、解像が甘かったりなど、上級者が満足できる画質でないことがあります。
しかし、SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMでは、広角側・望遠側の両端を含むズーム全域で素晴らしい描写力を実現しています。
圧巻のテレ端での解像力
実際に私が使用して驚いたのは望遠600mm側を使用したときの解像力です。
150-600mm F5-6.3 DG OS HSMは、これまでも何度か使用したことのあるレンズでしたが、ズーム域において200~300mm程度では解像力を感じる仕上がりでしたが、600mmなどのテレ端では描写が少し甘くなる印象でした。
今回ご紹介しているSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMでは、その心配は無用と言えるでしょう。600mmテレ端を使用した場合でもクッキリとしたシャープネスを感じる素晴らしい仕上がりを実現してくれます。
画質に関しては150-600mmを大幅に上回る
先ほどの通り、150-600mm F5-6.3 DG OS HSMとは画質面でも大きな差があると言えます。
600mmまでの焦点距離を保有しているからこそ、超望遠域というのは自ずと使用頻度が増えていきます。よく使用する焦点距離において描写力が発揮されるかが良いレンズかどうかの分かれ道と言えるでしょう。
こちらの作例をご覧いただくとわかる通り、描写力を維持したまま、迫力系のショットを撮影することが可能です。
しっかりブレを抑えることができる手ブレ補正機構
超望遠撮影になると大きな問題となってくるのが手の振動による写真のブレです。
フルサイズセンサー搭載モデルに取り付けた場合はAPS-Cモデルに400mmのレンズを取り付けた場合と画角に大きな変化はないため、ファインダー越しでも望遠レンズを使用されている方であれば手ブレによる難しさを感じることはあまりありません。
しかし、APS-Cモデルにこちらのレンズを取り付けた場合は、焦点距離がキヤノンの場合1.6倍、ニコンの場合は1.5倍となるため、800mmを超える焦点距離となります。
手ブレ補正のモードをOFFにしているとファインダー内でも揺れが大きく目立ち、場合によっては画角が定まらないこともあります。
ファインダー越しに効果が分かる強力手ブレ補正
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMでは、手ブレ補正は2つのモードを搭載しており、「1」では止まっている被写体を撮影するためのモードで、「2」では流し撮りに対応したモードになっています。
ファインダーを覗いただけで効果がはっきりわかる手ブレ補正機構は、SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMにおいて大きなメリットとして挙げられるでしょう。
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMで写す超望遠
製品仕様表
モデル名 | SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports |
---|---|
焦点距離 | 60-600mm |
明るさ | F4.5-6.3 |
レンズ構成 | 19群25枚 |
最短撮影距離 | 60~260cm |
最大撮影倍率 | 1:3.3(200mm時) |
フィルターサイズ | φ105mm |
最大径 | φ120.4mm |
長さ | 268.9mm |
質量 | 2,700g |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
最初絞り | F22-32 |
手ぶれ補正効果 | 〇 |
標準付属品 | フード(LH1144-01) |
対応マウント | シグマ用/キヤノン用/ニコン用 |
これ1本あれば望遠は良いのではないか
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMを実際に使用してみて「この1本で満足できるのではないか」と感じてしまうほどでした。
近年シグマが開発しているレンズは、どれも非常に優れた描写性能を保有し、レンズとしての質で高いクオリティを実現しています。
そんな中発売されたSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMも期待の新製品でしたが、その期待を裏切ることのない、素晴らしい完成度を実現しました。
先述の通り、私が日々の撮影生活においてメインの被写体となる飛行機では、このレンズは大変重宝する存在になると感じます。
もちろん、その他の乗り物、スポーツ、野鳥、動物など、望遠が必要となるジャンルにおいて強力な戦力となることは間違いありません。
レンズの質が高くなるのは時代の流れとともに感じることですが、SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMを使用することで「ここまで来たか」と技術の進歩を改めて感じる瞬間でした。
その他一眼カメラにおすすめの望遠レンズはこちらでご紹介
[2020最新]一眼カメラにおすすめの望遠レンズ9選。実際に使って感じた優れた望遠レンズをご紹介 – Rentio PRESS[レンティオプレス]
実力を試すならレンタルがおすすめ
今回ご紹介してきたSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMは、ぜひ望遠レンズ愛好家の皆さんに体感して頂きたいおすすめレンズです。
しかし、実売価格は2019年4月現在で15万円を超えているため、気軽に購入できるレンズとは言えないでしょう。
そんなときはカメラのレンタルサービスがおすすめです。
家電レンタル「Rentio(レンティオ)」では、今回ご紹介してきたSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMを最短3泊4日から気軽にレンタルすることが可能です。
その他にも人気レンズを豊富なラインナップから選んでレンタルすることができる全く新しいスタイルです。
購入前の検討材料としてはもちろん、短期間だけ必要とするレンズがある場合もRentioのレンタルサービスは大きく役立つと思います。
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