SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM実写レビュー。驚愕の解像力、手ブレ補正を実現した傑作レンズ
更新日2024/07/17
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望遠ズームレンズの中でも使い勝手が良く、明るいレンズが多数存在する70-200mm F2.8のジャンル。
キヤノンやニコン、ソニー純正レンズはもちろん、サードパーティーメーカーでも積極的に開発を進めている王道レンズです。
近年では、高性能高解像力を実現している70-200mm F2.8としてシグマから2018年12月に発売となった「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM」を実際に使用して、作例とともに実写レビューを行っていきます。
もくじ
質の高さが求められる70-200mm F2.8の世界
望遠レンズといっても様々な種類に分かれます。
400mmや500mmの焦点距離を超えるような超望遠レンズや、70-300mmなど、使い勝手がよくコストパフォーマンスの良いレンズなど、価格や性能に合わせた製品が多数存在します。
今回ご紹介している「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM」は、望遠レンズの中でも高い質が求められ、プロフェッショナルの現場でも使う機会の多い、70-200mm F2.8のジャンルに属します。
70-200mm F2.8は、名の通り70mmから200mmの望遠域を保有しながら、開放F2.8という非常に明るいレンズを実現していることが特徴的です。
70-200mm F2.8の歴史は深く、長年に渡ってプロフェッショナルの現場で数々のカメラマンの撮影を支えてきた伝統あるレンズです。
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ついに登場した最新SIGMA 70-200mm F2.8
シグマでも昔から70-200mm F2.8のレンズは存在しました。
しかしそのクオリティというのは、純正レンズには程遠く、低価格であること以外は解像力、手ブレ補正などの性能面において質が高いとは言えないレンズでした。
純正レンズに真っ向勝負
今回発売となった「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM」は、旧「SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM」から完全に一新し、新たな70-200mm F2.8のレンズとして誕生しました。
シグマでは安いだけのブランドからは既に脱却し、近年発売しているArtシリーズやSportsシリーズなどでは純正レンズにも劣らない圧倒的な高品位を実現しています。
今回ご紹介している「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM」も、シグマが誇るSportsシリーズに属した最新の望遠ズームレンズであり、キヤノンが高級レンズとして販売する「EF70-200mm F2.8L IS III USM」に真っ向勝負を挑む、期待の新製品です。
外観レビュー
ここからはSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMを実際に使用してレビューを行っていきます。
まずはデザイン面や重さなどの外観部分を徹底レビューしていきます。
最近のシグマらしい高級感のあるデザイン
ここ数年内で発売されたシグマのレンズは、統率されたシンプルなデザインが象徴的です。
黒ベースのボディに浮かび上がる白色の文字だけで統一され、フォーカスリングとズームリングの間には、シグマにおけるSportsシリーズを意味する「S」の文字がシルバー色に輝いています。
外観ボディの素材も非常に良い質感を実現し、サードパーティーレンズでよく見受けられた「安っぽさ」というのは皆無になりました。
φ82mmの大口径
質の良いレンズでは大口径になることは避けることができません。
こちらのSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMにおいてもφ82mmのフィルター径となっており、携帯性に優れたレンズとは言えないでしょう。
しかし、ここで忘れてはいけないのは、持ち運びに楽なレンズではなく質を求めて作られたレンズだということです。
質を求めるための質量1,805g
先ほどの「質を求めて作られたレンズ」というのは重さにも大きく影響しています。
近年は旅スナップなどで活用できるように小型で軽量のレンズが人気を集めていますが、こちらのSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMは、質量1,805gとなっています。
カメラ本体と合わせると2kgを超えてしまうこのレンズはドッシリとした重さを感じますが、手に持った時のホールド感が良いため、これまでも大口径レンズを使用されてきた方からすると大きく違和感を覚えることはないでしょう。
性能レビュー
外観を一通りレビューしたところで、ここからは実際に撮影できる作例などを基にレンズのクオリティ部分を実際にレビューしていきます。
後出しに妥協は許されない
ここ数年は各メーカーで70-200mm F2.8のリニューアルが続きました。
今回ご紹介しているSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMは、そのリニューアルの流れのなかでも最後に位置する「後出しのレンズ」でもあるのです。
既に発表されているTAMRON SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2や、約8年半ぶりにリニューアルとなったCanon EF70-200mm F2.8 L IS III USMよりも後に発売されることで、当然ながら求められるクオリティは高くなります。
クオリティに関して妥協の許されない状況だからこそ今回のSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMは、全カメラマン注目の的なのです。
タムロンという強敵に迫る圧倒的解像力
高品位なレンズで求められる性能として「解像力」は最も気になる性能です。
純正レンズはこれまで非常に高いクオリティを実現し、安定した解像力と、プロフェッショナルの要求に応える描写力を実現してきました。
そして同じサードパーティーレンズとして直接的なライバルとなるTAMRON SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2においても非常に高い解像力を実現したことで大きな話題を呼びました。
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そんな大きなプレッシャーの中で発売されたSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMですが、全く期待を裏切ることのない解像力を実現しています。
程よいシャープネス具合と、明暗差の大きい場所でも階調豊かに描写する性能は、近年求められる「高品位の解像力」を難なくクリアしています。
開放からシャープな仕上がりを実現
撮影スタイルにもよりますが、絞り開放での撮影を使うケースも多いかと思います。
そしてレンズ性能において数段絞った仕上がりよりも、絞り開放時の描写で比較されることが多いです。
絞り開放時の写りというのはレンズの真価が問われるポイントですが、SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMは、絞り開放時からシャープな写りを実現し、実用的に使用することができます。
迷うことのないAF性能
あらゆる面で高性能を求められるこちらのレンズでは、レンズにおいて重要な性能の一つであるオートフォーカスでも高い性能を実現しています。
オートフォーカスに求められるのは、高い精度と速い合焦能力ですが、そのどちらをも実現する高性能レンズとなっています。
そして写真撮影では暗くなるほど、オートフォーカスによる合焦が難しくなりますが、こちらのSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMにおいては、迷いを感じさせず、正確なピント合わせを実現します。
開放F2.8の明るさと併せて夜間の撮影で大きく活躍するレンズと言えるでしょう。
強い光源でもフレア・ゴーストを抑える
カメラレンズによって大きな差が出る1つにフレア・ゴーストの出現が存在します。
フレアやゴーストは、レンズが写し出す範囲内に太陽光や夜間の照明などの強い光源が入った場合に出現する大きな斑点のようなものです。
太陽光以外にも夜間など暗い環境での撮影では、蛍光灯や街灯などの光源でもレンズによってフレア・ゴーストが出現する場合があります。
強い光源下でもコントラストを維持
フレアが発生する場合、写真にとって一番の弊害となるのが、写真全体が霞んで見えてしまうコントラストの低下です。
逆光時は、コントラストの低下によりどこかクッキリとした明瞭感のない、写真に仕上がってしまうことがあります。
SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMでは、スーパーマルチレイヤーコートの採用によりフレア・ゴーストの発生を極力抑え、バランスの取れたコントラストを維持します。
スローシャッター時で必須となる3段階の手ブレ補正
TAMRON SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2で驚きの手ブレ補正が実現されたことが大きな話題となり、実際に私が使用し、レビューした際もその実力は驚くべき性能でした。
SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMでも、このTAMRONの手ブレ補正に劣らない高いレベルが求められる部分ですが、心配は無用でした。
夜間の手持ち撮影でスローシャッタースピードに設定した場合でも手ブレを極限まで抑えることができる手ブレ補正は、シャッタースピードわずか1/4秒でも手ブレ発生は少ないように感じました。
夜間でも素晴らしいパフォーマンスを発揮
Rentio PRESSにてTAMRON SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2をレビューさせて頂いた際、夜間の撮影で非常に優れた能力を発揮しました。
中でも強力な手ブレ補正は、夜間撮影において低速シャッタースピード時でも手ブレを極限まで抑えてくれる優秀な性能でした。
今回SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMを使用して、夜間での撮影というのは、このレンズの真価が問われる重要なシーンだと感じましたが、SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMでも夜間撮影において非常に優れた能力を発揮しています。
200mmの望遠側を使用してファインダーをのぞいた場合でも、ピタッと止まる手ブレ補正能力の効果は、驚くべきものでした。
今回使用したCanon EOS Rでは、ボディ内手ブレ補正は内蔵されていないものの、レンズ側の強力な手ブレ補正で夜間撮影における撮影成功率は大幅に向上しました。
そしてTAMRON製よりも手ブレ補正効果におけるファインダーでの写り方がより滑らかで自然なように感じました。
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色ノリも良好
レンズによって色の表現性なども大きく異なってくるポイントです。
個人的な印象としてシグマのレンズの色再現は、落ち着いた色彩の印象があります。
これはコントラストの部分とはまた異なる観点で、コントラストによるクッキリとした仕上がりを実現しながら、色表現においては派手に色彩をコントロールしない、落ち着きのある色再現だと感じます。
個人的にタムロン製の70-200mm F2.8のレンズは、黄色の色再現に癖を感じましたが、シグマ製のこちらのレンズは、癖がなく、現像時などでも調整しやすい色の再現だと感じました。
SIGMA 70-200 F2.8 DG OS HSMで写す
製品仕様表
モデル名 | SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports |
---|---|
焦点距離 | 70-200mm |
明るさ | F2.8 |
レンズ構成 | 22群24枚 |
最短撮影距離 | 1.2m |
最大撮影倍率 | 1:4.8 |
フィルター径 | φ82mm |
最大径 | φ94.2mm |
長さ | 202.9mm |
質量 | 1,805g |
絞り羽根 | 11枚(円形絞り) |
最初絞り | F22 |
手ぶれ補正効果 | 〇 |
標準付属品 | ロック付花形フード(LH914-01) |
対応マウント | シグマ用/キヤノン用/ニコン用 |
70-200mm F2.8レンズで新たな選択肢として間違いなし
選択肢の多い70-200mm F2.8のレンズですが、今回ご紹介してきたSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMは、新たな70-200mm F2.8のレンズとして有力な選択肢となるでしょう。
冒頭でもご紹介した通り、後出しのレンズとして、集まる期待は相当なものだと思います。
ライバルメーカーが非常に優秀なレンズを開発しているからこそ、妥協が許されない場面でしたが、SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMは、撮影における全ての面で高性能レンズであることを証明しました。
もちろんTAMRON SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2も非常に優れたレンズですが、設計自体の新しさなどはシグマの方が上です。
これまでサードパーティー製レンズの70-200mm F2.8ではタムロンの独壇場だっただけに、今回のSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMは、サードパーティーに求められるハードルを更に高める存在であり、それだけ質の良さが一定水準であることを示したレンズなのです。
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