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スーパームーンや皆既月食など、定期的に訪れる「月」に関する天体ショーから、月を撮影してみたいと思う方も少なくないのではないでしょうか。
宇宙の中でも月は最も近い存在であり、肉眼でも十分に楽しめる存在ですが、カメラを使って撮影することでクレーターなど、細部まで拡大して鑑賞を楽しむことができます。
今回の記事では、そんな「月の撮り方」をご紹介していくとともに、近年性能向上が著しいスマートフォンでも月の写真を撮影することができるのか、一眼カメラとの比較も交えて解説していきます。
もくじ
準備編 | 撮影に適したタイミングを知る
月齢の確認
月の撮影において、最初に確認すべきことは「月齢」です。
太陽とは異なり、月は日によって形が異なり、新月の日には月自体が見られないため、どのような月の姿を撮影したいかに合わせて撮影日を決める様にしましょう。
人気なのは真ん丸の姿である「満月」の日ですが、地球と月が最も接近する「スーパームーン」などのタイミングにおいては、特に大きく月を撮影できるため、おすすめです。
その他、半月や三日月といった日も月の撮影にはおすすめです。
2026年の月の天体ショー
| 月 | 日付 | 主なイベント | 備考・見どころ |
|---|---|---|---|
| 1月 | 1/4, 1/7 | 満月・レグルス食 | ウルフムーン。7日に月がしし座の1等星を隠す現象が起こります。 |
| 2月 | 2/2 | 満月 | スノームーン。冬の夜空に明るく輝きます。 |
| 3月 | 3/3 | 皆既月食 | 2026年最大のハイライト。日本全国で好条件で見られます。 |
| 4月 | 4/2, 4/24 | 満月・月面X | ピンクムーン。24日頃にはクレーターに「X」の文字が浮かびます。 |
| 5月 | 5/2, 5/31 | 満月・ブルームーン | ブルームーン(1ヶ月に2回の満月)。2回目が31日です。 |
| 6月 | 6/30 | 満月 | ストロベリームーン。夏至近くの高度が低い赤い満月です。 |
| 7月 | 7/29 | 満月 | バックムーン。夏の夜空を飾ります。 |
| 8月 | 8/28 | 満月 | スタージョンムーン。12日には海外で皆既日食も。 |
| 9月 | 9/25, 9/27 | 中秋の名月・満月 | 伝統的なお月見。満月(ハーベストムーン)は27日です。 |
| 10月 | 10/26 | 満月 | ハンターズムーン。秋の夜長に楽しむ月です。 |
| 11月 | 11/24 | スーパームーン | 月が地球に接近。通常より大きく明るく見えます。 |
| 12月 | 12/24 | スーパームーン | クリスマスイブの満月。2026年で最も地球に近い満月です。 |
時間帯
月を撮影する時間というと「夜」を想像するかと思いますが、実は月が姿を見せている間は、いつでも撮影することが可能です。
どのような月を撮影したいかによって変わってきますが、純粋に天体写真のように暗闇に輝く月の姿を撮影するのであれば夜の時間帯がおすすめですが、風景と絡めて撮影するような場合は、夜だと月の明かりと風景の露出が極端に異なるため一緒に撮影することが難しくなります。
風景を絡めた撮影であれば、月が水平線付近に存在するタイミングを狙って朝方や夕方など少し薄暗い時間帯がおすすめです。
便利なアプリ・サイト
月も太陽と同じように月の出、月の入りの時間が決まっており、それらはアプリ等で確認することが可能です。
そして月は太陽よりも1日ごとに時間や昇る位置なども大きく変わってくるため、月の出時間や月の出位置を視覚的に確認できるアプリがおすすめです。
筆者が愛用しているのは、「サンサーベイヤー」です。
地図上に月の軌道や時間、角度まで表示される非常に見やすいアプリとして重宝しています。
月だけでなく、太陽の軌道なども確認できるため、カメラマンにとって必須の存在と言えます。
機材編 | 何が必要?
カメラ
撮影のベースとなるカメラ選びも重要になってきます。
様々なカメラの種類が存在しますが、月の撮影においては「ミラーレス一眼」「一眼レフ」「高倍率ズームデジカメ」「スマートフォン」が候補に挙がってきます。
ミラーレス一眼
数あるカメラの中でも月を最も綺麗に写したいのであれば「ミラーレス一眼」が最適な選択肢になります。
ミラーレス一眼の中でも様々なラインナップ分けが行われていますが、初心者向けのモデルを選んだとしても月の撮影には、他のカメラタイプと比較しても最も適していると言えるでしょう。
カメラ選びの基準の1つにセンサーサイズがありますが、APS-Cセンサーなどを選ぶことで望遠性能で有利となるため、大きく月を写したい場合には気にしておきたいスペックになります。
一眼レフ
ミラーレス一眼が主流になる前は、この「一眼レフ」が一眼カメラの中心的存在でした。
残念ながら新たな製品開発はほとんど行われることはないジャンルとなり、ミラーレス一眼と比べると性能面での劣るカメラが大半となりますが、中古などで出回っているモデルも多いことから予算を抑えて一眼カメラを使うことのできるメリットが今でも存在します。
高倍率ズームデジカメ
カメラとレンズが一体になった「コンパクトデジタルカメラ」も月の撮影におすすめです。
コンパクトデジタルカメラの中でも望遠性能に優れた高倍率ズームデジカメの存在がおすすめで、NikonのCOOLPIXシリーズなどは、超望遠の画角を有していることから、月の撮影にもおすすめの存在です。
ただ、画質の面などはどうしても一眼カメラと比較すると劣る部分になリます。
スマホ
近年では、スマートフォンのカメラ性能の向上も著しく、スマートフォンを使って月を撮影することも不可能ではなくなりました。
スマートフォンにおいても望遠性能が向上し、シャッタースピードなど細かい撮影設定も調整できるようになったことで、以前は不可能であった撮影が可能になりつつあります。
気軽に撮影を楽しむのであればデジカメを用意することなく、身近なスマートフォンで済ましてしまうのも一つです。
レンズ
600mm以上の望遠レンズ
月は宇宙に存在する星の中では最も近く、肉眼でもはっきり見える存在ですが、それでもカメラを通して撮影する場合には、非常に遠い存在になります。
そのため目安としては、35mm判換算で600mm以上をカバーするレンズの使用が推奨され、超望遠レンズの準備が必要になります。
この35mm判の焦点距離は、センサーサイズによって異なるため、たとえ400mmのレンズだとしてもAPS-Cの場合は600~640mm相当、マイクロフォーサーズの場合は800mmにもなるため、カメラボディとの関係性にもよります。
そのためキットレンズなどで付属されているレンズでは、月を大きく写すことができないため、注意が必要です。
[2026最新] おすすめ望遠レンズ20選。実際に使って感じた望遠レンズの魅力や選び方を徹底解説 – Rentio PRESS [レンティオプレス]
三脚
超望遠での撮影になるため、手ブレを防ぐためにも「三脚」を使用することも良い選択肢になります。
とはいえ、月の撮影においては必須の存在ではありません。
設定については後ほど紹介しますが、シャッタースピードも遅くする必要がないため、カメラを完全に固定する必要がないため、乗り物や野鳥などの撮影に近い感覚になります。
ただ、三脚を活用することでフレーミングが安定することは間違いないため、持参して便利に活用することもできます。
実践編 | カメラの設定
マニュアルモードを使おう
月の撮影は、実は特殊な部類に入ります。
夜の撮影においても、通常の夜景の撮り方とは大きく変える必要があり、注意が必要です。
その理由として、夜間でも月が非常に明るいという性質が関係しており、オートモードで撮影した場合には、月が白飛びしてしまう可能性が高くなります。
そのため、月の撮影ではシャッタースピードと絞り値を手動で設定する「マニュアルモード」での撮影を使うようにしましょう。
参考設定値
実際に撮影を行う際に、参考になる設定をご紹介していきます。
意外に思われるかもしれませんが、月の撮影設定値については、日中時間帯に動く被写体を撮影する設定と近くなる傾向にあります。
- ISO感度:ISO100~400
- シャッタースピード:1/1000~1/2000秒
- 絞り値(F値):F8~F10
基本的にはISO感度と絞り値を固定しながら、月の明るさに合わせてシャッタースピードを調整することがおすすめです。
ミラーレス一眼の場合、写り方の変化を確認しながら設定できるため、液晶画面上に写る月のクレーターなど模様がはっきり見える様に調整してみましょう。
月が明るすぎる場合にはシャッタースピードを上げて、逆に月が暗すぎる場合にはシャッタースピードを下げることで、明るさを調整することができます。
初心者向けにカメラ設定の基本を完全ガイド!3つの関係性で分かる写真のすべて – Rentio PRESS [レンティオプレス]
比較編 | 一眼とスマホでの違い
一眼とスマホではどのくらい違うの?
近年では、スマートフォンのカメラ性能も向上したことで、スマホ単体で「月」の撮影もできるようになりました。
気になるのは一眼カメラとの差ですが、スマホと一眼では正直雲泥の差があります。
スマホでの撮影は、そもそも焦点距離が足りないことが多く、仮に倍率の高いズームを使用しても、デジタルズーム(無理やり引き伸ばす)が限界であるため、精細な描写には期待することができません。
こちらがGoogle Pixel 8aで撮影した月の様子です。
クレーターの柄までは写すことができますが、拡大するとあくまで模様がわかる程度の画質です。
Google Pixel 8aでは、「夜景モード」で8倍ズームまで拡大し、月にピントを合わせることで「天体写真」モードへと切り替わるのを待って撮影することができます。
こちらは、SONY α7 VにFE 400-800mm F6.3-8 G OSSを装着して撮影した、一眼カメラでの作例です。
是非、リンク先のFlickrで等倍表示にして見ていただきたいですが、クレーターの細部までくっきりと写すことができています。
超望遠レンズが必要になりますが、機材さえ揃えば簡単にこのように綺麗な月の姿を写真に収めることができます。
スマホは雰囲気重視で撮るならOK
比較の通り、スマホでは細部まで求めた月の撮影は難しいものの、雰囲気重視で撮影するのであれば実用的かと思います。
今後は更にスマホの性能も向上することが予想できますが、現時点ではあくまで細かい部分にこだわらないのであればといった状況です。
クオリティを求めるなら断然一眼がおすすめ
月のディテールまで拡大して楽しみたいというのであれば、一眼カメラでの撮影が必須となります。
月の撮影ではとにかく準備段階でご紹介した通り「望遠性能」が最も重要です。
とにかく焦点距離が35mm判換算で800mmを超えるレンズを準備するようにしましょう。
一眼でステップアップ | さらに美しく撮るコツ
ピント合わせ
時々、月の撮影に関してはオートフォーカスが正しく月に合わないときがあります。
そんな時は、マニュアルフォーカス(MF)に変更して、ピント合わせを行うことで、より精細なピント合わせを行うことができ、写りも鮮明になります。
ピント合わせを行う際には、背面モニターで拡大された映像を見ながらリングを回転させて微調整することがおすすめで、リングの回転も少しずつ行うようにしましょう。
比較明合成
参考設定値において、早いシャッタースピードが必要だとご紹介しましたが、例えば建物や風景と一緒に月を撮影したい場合には、この設定では風景側がきれいに写ってくれません。
日中時間帯の撮影であれば月と風景の明るさ(露出)はほぼ同じのため、同時に写すことは可能ですが、夜間の場合は、風景側が極端に暗くなるため、1枚に月と風景を同時に写すことはできません。(風景側に露出を合わせると月の露出が白飛びして適切でなくなるため)
こんなときは「比較明合成」を活用することがおすすめです。
これは露出の異なる2枚の写真をカメラ上で合成することで1枚の写真へと仕上げる手法で、同じ構図で月に露出を合わせた写真と風景に露出を合わせた写真を重ねて1枚へと仕上げることができます。
撮影後編 | レタッチ(編集)で仕上げる
トリミング
レタッチの最初の作業として、「トリミング」を行って構図を整える作業があります。
月の場合は、構図において月を完全な中央に配置したいときや、焦点距離が足りなかったときに余白を切り取ることで月を大きく見せることができます。
極端にトリミングを行ってしまった場合には、画質が大幅に低下する恐れもあるため注意が必要になります。
コントラスト・明瞭度
月にはクレーターなど、様々な特徴的な模様が存在します。
それらの月の模様をくっきりさせるために、「コントラスト」や「明瞭度」を調整することもおすすめです。
コントラスト、明瞭度を高めにすることで模様が浮かび上がってきやすくなりますが、過度な編集を行うと逆効果になることもあるので、適度な調整を心がけましょう。
色温度(ホワイトバランス)
月の色の雰囲気を調整するのであれば「ホワイトバランス」の調整がおすすめです。
ホワイトバランスとは「色温度」のことで、ケルビン値を変えることで色の温かみ(寒色〜暖色)を調整することができます。
月を青白くクールな印象に仕上げるのであればケルビン値を下げて、黄色く温かみのある仕上がりにするにはケルビン値をあげることで印象を大きく変えることができます。
なお、撮影後のホワイトバランスの調整には、「RAW」データで撮影している必要があるため、カメラの設定も再確認するようにしましょう。
まとめ
今回ご紹介してきたように、月の撮影は夜景ジャンルからかけ離れた独自のジャンルになりますが、難しいことはなく、設定を中心に基本をしっかり押さえることで簡単に綺麗に撮影することができます。
そしてシャッタースピードなど、細かい設定が可能であればスマートフォンでの撮影も可能で、気軽に撮影することができるようになりました。
しかし、依然として画質面や細かい描写力は、一眼カメラの方が圧倒的に優れており、綺麗さを求めるのであれば一眼カメラの使用は欠かせないと言えるでしょう。
必要な機材はレンタルがおすすめ
今回ご紹介してきた「月の撮り方」ですが、超望遠レンズが必要な撮影シーンでは、いきなり購入するのではなく、レンタルでお試ししてみるのも一つです。
特にカメラボディや望遠レンズなどは、決して安いものではなく、これから趣味として始めようという方には特にハードルの高さを感じることでしょう。
Rentio(レンティオ)では、数あるカメラやレンズを豊富なラインナップから自由に選んで最短3泊4日からレンタルすることができます。
是非、この機会にレンティオを活用して細部まで楽しめる月の撮影を楽しまれてはいかがでしょうか。


