HARIO(ハリオ)の「Hikaru V60 Smart Brewer」をレビュー!ペーパードリップを楽しめるコーヒーメーカーです
更新日2024/11/13
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全自動コーヒーメーカーをはじめ、いろんな人気ブランドのコーヒーメーカーを試してきましたが、筆者の中ではハンドドリップを超える製品にはなかなか出会えておりませんでした。
コーヒーメーカーを使えば確かに抽出工程をほったらかしにできるので利便性は良いのですが、味や香り、日頃のメンテナンスも含めると、「やはりハンドドリップが最適解なのでは?」と思っていたりしました。
そんな折、目に飛び込んできたのは、コーヒーブランドで不動の地位を獲得しているHARIOからIoTコーヒーメーカー 「Hikaru V60 Smart Brewer」が発売されるというニュースでした。先行販売のクラウドファンディングサイトでは、普段から使い慣れているV60のドリッパーを使ったペーパードリップで注湯機能に力を入れている印象で、「まさにハンドドリップとコーヒーメーカーのいいとこ取りをしたマシン!」と思ったのです。
この記事では、そんな気になって仕方がない「Hikaru V60 Smart Brewer」をHARIO株式会社様のご厚意で借りることができたので、こ実際に使ってみた感想、メリット・デメリットを正直にレビューしてみました。
筆者のように、ハンドドリップとコーヒーメーカーの利便性の間で揺れている方にとって、少しでもコーヒーメーカー選びの参考になれば幸いです。
もくじ
Hikaru V60 Smart Brewerとは
「Hikaru V60 Smart Brewer」はHARIOが、子会社のIoTコーヒー機器専門メーカー「Hiroia Communications PTE.,LTD.」(本社:シンガポール)と共同開発したコーヒーメーカーです。
HARIOの代名詞でもあるV60ドリッパーをベースに、正確な抽出コントロールができるのが最大の特長です。
コーヒーメーカーとは思えない、丸みを帯びたインテリア性の高いデザインも存在感のある個性です。
- V60ドリッパーをベースにした再現性の高いペーパードリップを実現
- 専用アプリでカスタマイズレシピやバリスタのレシピを再現可能
- 幻想的なライティングによるドリップ工程を演出
- インテリア性の高いプロダクトデザイン
動画でわかるHikaru V60 Smart Brewerの特徴
コーヒーを抽出する工程を動画にまとめましたので、「Hikaru V60 Smart Brewer」がどんなコーヒーメーカーなのか、実際の映像から特徴を捉えていただければと思います。
製品スペック一覧表
項目 | スペック詳細 |
---|---|
水タンク容量 | 380ml-700ml |
最大抽出量/回 | 約580ml |
注湯温度 | 1度単位で調整可(80度〜96度の範囲) |
水量 | 1ml単位で調整可 |
通信仕様 | Bluetooth 5.2 |
消費電力 | 830W |
サイズ (幅×奥行き×高さ) |
約398mm×170mm×300mm |
重さ | 約2.8kg |
一般販売予定価格 (2023年12月20日現在) |
86,800円 |
Hikaru V60 Smart Brewerの外観レビュー
まず「Hikaru V60 Smart Brewer」の外観部分を中心に、同梱品や操作感などレビューしていきます。
同梱品リスト
商品名にあるとおり、V60のガラス透過ドリッパー・グラスサーバー・ペーパーフィルターが付属します。ペーパーフィルターは40枚付属するので、届いてすぐにコーヒードリップを始められるのは評価ポイントでした。
製品自体は、サイズさえ収まれば他のドリッパーやサーバーも使用できるよう設計されています。
- 本体
- V60耐熱ガラス透過ドリッパー02
- V60グラスサーバー600クリア
- V60用ペーパーフィルター02 W 40枚
横幅のあるサイズ感
サイズは横幅が約40cm、高さが約30cmと、ドリップコーヒーメーカーの中では大きめです。
筆者宅にあるデロンギのエスプレッソマシンが約45cm×約36cmあるので、それなりのサイズ感であることが分かります
一方で奥行きは約17cmとスリムなので、比較的、置き場所は自由度が高いと思います。
重量も約2.8kgと、見た目ほど重くもありません。
インテリア性の高いデザイン
「Hikaru V60 Smart Brewer」の見た目はかなりユニークで、コーヒーメーカーの中では唯一無二と言っても過言ではありません。
ドリッパーとサーバーを透過ガラスに統一しているので、本体カラーの白さと相まって透明感のあるシンプルさが心地よく、インテリア性を高めています。
また、角が一切削ぎ落とされている見た目から徹底したこだわりを追求されているのが感じ取れ、プロダクトデザインとしての完成度の高さが伺えます
本体下部には「Hiroia」の筆記体ロゴが入ることで、デザインとマッチしている
凹凸のないシンプルな操作性
本体には電源ボタン、コース設定ボタン、スタート/ストップボタンの3つしかなく、いずれも凹凸のないフラットなボタン(若干凹みがある)です。そのため、前述の本体デザインを邪魔せず、かといって使い勝手を損なわない工夫が見られました。
電源ボタン以外のボタンはタッチ操作で、タッチ感度も良好でした。
水タンクの口は小さめ
水タンクのフタを開けると外観より浅いことに驚いたのですが、水タンク下には「Hikaru V60 Smart Brewer」の肝である正確な水量制御をするためのスケールが内蔵されているからのようです。
最大容量700mlの水タンクは口が小さめなので、水を注ぐ時はほんの気持ちだけ注意する必要はあります。
次章では、いよいよ実際に使っていきますので、使用感や抽出されたコーヒーの出来具合を正直にレビューします。
Hikaru V60 Smart Brewerを使ってみた感想
コーヒー豆と必要な器具をそれぞれ用意し、「Hikaru V60 Smart Brewer」を使ってコーヒーを抽出してみます。
クリスマスシーズンでもあったので、雰囲気も楽しむために、コーヒー豆はクリスマス ブロンド ローストをチョイスしました。
- スターバックス® クリスマス ブロンド ロースト
- コマンダンテ C40
- HARIO V60ドリップスケール
- カリタ クリーニングブラシ
見て楽しめる光の演出
「Hikaru V60 Smart Brewer」の円形になっている本体内側にはLEDライトが内蔵され、光で状態を教えてくれます。
- オレンジの光が温度計のように昇っていく演出は水を温めてる状態
- 白の光が流れ落ちるような演出はお湯を注いでいる状態
- ゆっくりと白の光が点滅している時は蒸らしやスタンバイの状態
なによりガラスサーバーに反射する光が幻想的で、見て楽しめるコーヒーメーカーだと思いました。
ドリップは全自動で蒸らしや撹拌も均一に
円形本体上部にある5つ穴のシャワー口から注湯が開始されます。
本体底部にあるシリコンパッドのおかげで、ガラスサーバーをセットすると自然にV60ドリッパーの中央にお湯が落ちるよう設計されており、均一にお湯が行き渡るようになっています。
1投目でコーヒー豆全体を蒸らし、2投目コーヒーの土手を作り、3投目以降で土手を崩しながら撹拌してドリップする工程がインプットされているようで、自身のハンドドリップにも近いものを感じました。
直感的なアプリ操作でカスタマイズも可能
抽出メニューは予め3コース用意されています。
本体上部にあるボタンでコース選択ができますが、スマホアプリ「Hikaru Brew」とBluetooth接続して使えば、手軽にカスタマイズすることも可能です。
レシピ | コーヒー豆量 | おすすめ焙煎 | 注湯温度 | 抽出量 |
---|---|---|---|---|
S | 18g | 浅煎り | 93度 | 290ml |
M | 27g | 浅煎り | 93度 | 440ml |
L | 36g | 浅煎り | 93度 | 580ml |
ドリップが始まった後もアプリで進行状況をリアルタイムで確認できるので、任意の温度や抽出量で止めてオリジナルレシピを模索する、なんてこともできてしまいます。
プリセットメニューが浅煎り豆をベースに組み立てられているので、深煎り豆を使う場合は温度を下げてみるなど、簡単なカスタマイズから始めてみるのがおすすめです。
コーヒー好きにはたまらないレシピ作成・保存機能
「Hikaru V60 Smart Brewer」を使う一番の特長とも言えるのが、自由にカスタマイズできるレシピです。
自分でオリジナルのレシピを保存しマイメニュー登録(Pメニュー / Peronal recipe)したり、バリスタが公開しているレシピをQRコード等で読み込み保存することができます。
レシピ項目 | 設定方法 |
---|---|
抽出量 | 1ml単位 / 最大580ml |
流速 | 10段階(レベル1〜レベル10) |
温度 | 1度単位 / 80度〜96度 |
インターバル (次の注湯までの時間) |
1秒単位 / 0〜99秒 |
実際にレシピを考えながら設定してみたのですが、流量とインターバルの設定に少し苦戦しました。
というのも、流量はレベル表記(1レベル〜10レベル)で取扱説明書にも詳細が記載されておらず、インターバルもどの時点からの秒数なのかどのくらい違いがあるのか手探りで確認するという工程をはさんだからです。
コーヒー好きの筆者にとってもオリジナルレシピ作成はハードルが高く、はじめからバリスタ向けの機能なのだろうという印象を持ちました。
淹れたコーヒーはうまかった
今回は浅煎りコーヒーぽくないドリップをレシピを色々模索し、「これは結構うまくいったかも?」と思ったレシピを共有します。
使った豆は、浅煎りの豆の「スターバックス® クリスマス ブロンド ロースト」、湯温は88度に設定し、以下のドリップ工程になります。
浅煎りコーヒーが苦手な人でも、浅煎りコーヒーぽさを楽しめながらするーっと飲める、をイメージして作りました。
工程 | 抽出量 | 流量 | インターバル |
---|---|---|---|
1 | 60ml | レベル3 | 45秒 |
2 | 120ml | レベル5 | 50秒 |
3 | 120ml | レベル5 | 50秒 |
4 | 120ml | レベル5 | 50秒 |
お手入れが楽だった
一般的なコーヒーメーカーや全自動コーヒーメーカーと比べると、片付けやメンテナンスが楽というのも魅力の1つかもしれません。
ペーパードリップなのでゴミ箱に捨てればフィルター洗浄の手間もなければ、ガラスサーバーとガラスドリッパーはどちらも食器洗い乾燥機に対応していますし、洗い物も手間になりません。
本体のシリコン部分も外して水洗いできますし、本体も丸みのある形状のおかげで拭き掃除もスムーズでした。
タンクに残った水はドレインモードがあるので、多少はタンク内に水が残ってしまうのですが、ガラスサーバーにギリギリまで排水できます。
Hikaru V60 Smart Brewerを使って気になったこと
一方で、「Hikaru V60 Smart Brewer」を使う中で気になる点、改善してほしい点が見えてきたので、包み隠さず共有したいと思います。
音がチープ
感動するほど、プロダクトデザインの完成度は高いものなのですが、動作音がチープに聞こえます。
好みの問題かもしれませんが、バルミューダのコーヒーメーカーは、プロダクトデザインにマッチし、ドリップ体験を上質なものにしてくれる音でした。
コーヒーミルやスケールが別途必要
ドリップ式コーヒーメーカー全般に言えることですが、コーヒー豆から淹れるにはミルとスケールが必要です。
「Hikaru V60 Smart Brewer」はドリップ工程にこだわっているからこそ、コーヒー粉からはではなく、淹れる側も妥協なく挽目と分量にこだわり、レシピを再現する意識が求められる製品だと思いました。
ドリッパー置きがほしい
淹れ終わったあとのドリッパー置き(ドリッパースタンド)もあると嬉しかったです。(バルミューダのコーヒーメーカーには付属してた!)
すぐコーヒーカップに注いでしまえばよいのかもしれませんが、最大600ml弱も淹れられるので作り置きして飲む人も少なくないと思います。
もう1つコーヒーカップを出して置いてもよいのですが、ドリッパースタンドまで用意したときの一体感も見てみたかったです。
アプリはアップデートに期待
2023年12月現時点でのアプリの完成度は決して高いものとは言えません。
設定や操作方法は極めてシンプルでそれは問題ないのですが、「Hikaru V60 Smart Brewer」とBluetooth接続した状態でないとアプリを使えないのは大きな不満でした。
せめてすぐレシピを作成したり、保存することができれば便利だと思います。欲を言えば、バリスタのレシピがタイムラインで流れてきたりお知らせしてくれる機能などもアップデートしていけば楽しみが増えるので期待したいですね。
コーヒーメーカーというより、電気ケトルの未来を感じたアイテム
「Hikaru V60 Smart Brewer」は、一般販売予定価格(2023年12月20日現在)は86,800円とコーヒーメーカーの中でもかなり高額な部類になるため、コスパや手軽さを重視する人には向いていません。
ドリップレシピを考えることが好き、いろんなドリップ工程でコーヒーを楽しみたい、そんな方にとっては様々なレシピへアクセスしやすく、記録し易いので自由度が高いコーヒーマシンだと思います。
コーヒーメーカーというより、高性能な注湯機能に特化したドリップマシンと捉えたほうが、筆者自身はしっくりきました。コーヒーケトルの未来のカタチの1つかもしれません。
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