注目のフルサイズミラーレス「EOS R」と「EOS RP」の7つの違いを徹底解説。実際に使って感じたキ ヤノン最新モデルを検証
更新日2022/10/31
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2018年夏に発表されたキヤノンによるフルサイズミラーレス一眼マウントであるEOS Rシステム。
2018年10月には最初のモデルであるEOS Rが、2019年3月には2つ目のモデルとしてEOS RPが発売され、目まぐるしい勢いでフルサイズミラーレス一眼市場において存在感を示しています。
今回はEOS RPの発売をうけて先の発売となったEOS Rとどのような違いがあるのかを比較解説していきます。
もくじ
時代をリードするミラーレス一眼カメラ
デジタルカメラを語る上で時代はすでに「ミラーレス一眼カメラ」といっても過言ではないでしょう。
2018年になるとカメラメーカー各社は、新たなミラーレス一眼カメラの開発を積極的に進め、キヤノンもその1社として大ヒットモデル「EOS Kiss M」やフルサイズミラーレス一眼「EOS R」を発売しました。
今回ご紹介していくEOS RとEOS RPの2モデルもミラーレス一眼カメラとして今後キヤノンの行方を左右する重要なモデルといえるでしょう。
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発表された全く新しいEOS Rマウント
2018年8月に発表となったEOS Rは、キヤノンにとって大きな発表でした。
これまでデジタル一眼レフカメラの開発を中心に行ってきたキヤノンでしたが、全く新しいマウントでの新カメラの開発としてEOS Rシステムを発表。
これまでキヤノンが主体としてきたEFマウントからサイズなどを変更し、EOS Rシリーズとしてフルサイズミラーレス一眼カメラを開発していくこととなりました。
フルサイズミラーレス一眼カメラが注目を浴びるようになり、キヤノンも市場の盛況ぶりを見逃すわけにはいかなかったのです。
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EOS R概要
2018年10月発売、EOS Rシリーズにおいて初代となるEOS R。
キヤノンが初めて開発したフルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラですが、キヤノンがこれまで一眼レフの開発で培ってきた技術が存分に活かされた高性能モデルとなっています。
私個人的にもEOS Rは実際のレビュー記事において使用しましたが、最新映像エンジンによる描写能力の高さには感動するほどでした。
特に夜間での高感度撮影においてノイズの出方は目立たなく、現像において処理のしやすいノイズであるため、夜間撮影に関してこれまで扱ってきたカメラの中でもトップクラスだと感じました。
主なスペック
- 撮像画面サイズ : 36.0×24.0mm(フルサイズ)
- 映像素子型式 : CMOSセンサー
- 有効画素数 : 約3030万画素
- オートフォーカス方式 : デュアルピクセル CMOS AF方式
- 測距点 : 5655点
- 常用ISO感度 : ISO100~40000
- シャッター速度 : 1/8000~30秒、バルブ
- 連写性能 : 最高約8.0コマ/秒(ワンショットAF使用時)
- 画面 : ワイド3.15型/約210万ドット
- 通信機能 : Wi-Fi/Bluetooth
- 大きさ : 135.8×98.3×84.4mm
- 質量 : 約660g
EOS R実写レビューはこちら
Canon EOS R実写レビュー。伝統を受け継いだフルサイズミラーレス一眼カメラが誕生 – RentioPress
EOS RP概要
2019年3月発売、EOS Rシリーズにおいて下位モデルとして誕生したEOS RP。
EOS Rよりも初心者が扱いやすいカメラとして、はじめてのフルサイズミラーレス一眼に最適なカメラとして販売されています。
こちらも実際にレビュー記事作成の際に、使用して撮影しましたが、1年前にEF-Mマウントで発売された大人気ミラーレス一眼カメラEOS Kiss Mで搭載された「クリエイティブアシスト」などが搭載されており、初心者が扱いやすいモデルだと感じました。
EOS Rよりも小型・軽量で携帯性にも優れているため、ビギナー向けのモデルです。
主なスペック
- 撮像画面サイズ : 35.9×24.0mm(フルサイズ)
- 映像素子型式 : CMOSセンサー
- 有効画素数 : 約2620万画素
- オートフォーカス方式 : デュアルピクセル CMOS AF方式
- 測距点 : 4779点
- 常用ISO感度 : ISO100~40000
- シャッター速度 : 1/4000~30秒、バルブ
- 連写性能 : 最高約5.0コマ/秒(ワンショットAF使用時)
- 画面 : 3.0型/約104万ドット
- 通信機能 : Wi-Fi/Bluetooth
- 大きさ : 132.5×85.×70.0mm
- 質量 : 約485g
EOS RP実写レビューはこちら
Canon EOS RP実写レビュー。フルサイズ入門機としての性能やEOS Rとの比較を実際に使って徹底解説 – RentioPress
両者を比較
EOS R、EOS RPそれぞれをご紹介したところでここから本題である両者の比較を行っていこうと思います。
クラス的にEOS Rがスタンダードモデル、EOS RPがエントリーモデルに該当しますが、どのような違いがあるのか細かく解説していきます。
画素数の違い
EOS R、EOS RPの両モデルでは実現している有効画素数に違いがあります。
EOS Rの方が高画素機
EOS Rでは、一般的なデジタル一眼カメラとして高画素となる約3030万画素を実現し、EOS RPでは、それよりも有効画素数を減らした約2620万画素となっています。
高画素であるほど、高画質であることは間違いありませんが、より画像が繊細になる影響から手ブレによる僅かなミスも大きく目立ってしまいます。
高画素機を扱うには撮影技術も必要になってくるので、このあたり、EOS RPで画素数が削減されたのは初心者モデルとして優しい配慮なのだと感じます。
連写性能の違い
EOS RとEOS RPでは、連続撮影性能である連写速度にも違いがあります。
EOS Rでは、最高約8.0コマ/秒を実現していますが、EOS RPでは大幅に速度を落とした最高約5.0コマ/秒の連写速度となっています。
追従AF時の連写速度はあまり変わらない
しかし、これらの最高速度はフォーカスを固定するワンショットAF使用時であるため、追従AFとなるサーボAF時は、これよりも速度は低下します。
サーボAF時の連写速度は、EOS Rで最高約5.0コマ/秒、EOS RPで最高約4.0コマ/秒と、ワンショット撮影時よりも両モデル間の差が大きく狭まっています。
スポーツや乗り物などの動体撮影の場合、サーボAF設定による撮影が必須となるため、連写性能の違いはそこまで大きくないといえるでしょう。
外観サイズと重さの違い
EOS RとEOS RPでは、カメラ本体の大きさや重さにも違いがあります。
結論から言うとEOS Rの方が大きく、重いカメラボディとなっています。こちらは上位モデルとして当然といえば当然でしょう。
外形寸法の違い
- EOS R : 135.8×98.3×84.4mm
- EOS RP : 132.5×85.0×70.0mm
このように幅、高さ、奥行きでそれぞれ大きな違いがあるため、持ち歩きなどでの携帯性に大きな違いがあります。
本体質量の違い
- EOS R : 約660g
- EOS RP : 約485g
重さの面でもEOS RとEOS RPでは大きな違いがあります。
単純に本体が小さい分、EOS RPでは軽量化も実現しています。その差は200gに近いほどで、EOS RPは、キヤノンのフルサイズセンサーを搭載したカメラとして最軽量を実現しています。
そして約485gという質量は、APS-Cセンサーを搭載し、初心者に人気のモデルであるEOS Kiss X9iよりも軽い数値となります。
表示パネルの有無
歴代のフルサイズEOSには、カメラ上部に撮影設定に関する情報がまとめられた表示パネルが搭載されていましたが、EOS Rでは搭載されているものの、EOS RPで非搭載となりました。
EOS Rの表示パネルは新スタイル
EOS Rでは、正方形に近い表示パネルを搭載し、さらに一眼レフカメラ時代とは異なり液晶を採用したことから表示形式を変更することを可能としています。
EOS RPでは、極力ボディサイズを小型化することや、ミラーレス一眼カメラの特性である電子ビューファインダー上で撮影設定を確認できることなど、表示パネルを必要としないことから省略されたものと思われます。
モードダイヤルの有無
EOS Rでは、一眼レフカメラ時代に存在したモードダイヤルを撤廃するという大胆なデザイン変更が採用されました。
モード変更もファインダー内や表示パネルを確認する必要がありましたが、これまでダイヤルを回して位置合わせをしていたスタイルから大きく変わりました。
EOS RPでは従来の一眼レフモデルと同様のモードダイヤルを採用
一方EOS RPでは、表示パネルが搭載されていないこともあり、これまでの一眼レフカメラのように一般的な回転式にモードダイヤルが搭載されています。
これまで一眼レフで撮影されていた方からするとダイヤル式のモード選択の方が違和感はないでしょうが、EOS Rのタイプでも慣れに問題であると私は考えています。
シャッター幕の有無
EOS Rでは、電源OFF時はマウント部に自動的にシャッターが閉まるように設計されています。
ミラーレス一眼カメラの場合、ボディキャップを開けた瞬間にセンサーがむき出しの状態になるため、レンズ交換時などにゴミなどの異物が混入しやすくなりますが、それを防ぐためにシャッター幕が搭載されています。
EOS RPはレンズ交換時に注意が必要
しかし、EOS RPでは同じミラーレス一眼カメラですが、電源OFF時のシャッター幕は搭載されておらず、レンズ交換時などボディキャップを開けた瞬間は異物混入に注意する必要があります。
センサー上にゴミが存在すると、写真に写した場合に斑点のように写り込むため、細心の注意を払う必要があります。
使用バッテリーの違い
EOS RとEOS RPでは使用するバッテリーに違いもあります。
バッテリー容量で異なる撮影可能枚数
EOS Rでは、一眼レフカメラであるEOS 5D Mark IVや、EOS 7D Mark IIなどハイアマチュアモデル以上のカメラで使用されていた「LP-E6N」が採用されており、互換性があります。
一方、EOS RPではこれまでEOS Kissシリーズなど、初心者向けのモデルで使用されてきた「LP-E17」が採用されています。
大きさ的にはLP-E17の方が小型軽量となっていますが、バッテリー容量で大きな違いがあり、EOS R搭載LP-E6Nでは1865mh、EOS RP搭載LP-E17では1040mAhと撮影可能枚数にも大きな影響が出てきます。
レビュー作成時にEOS RPを半日程度使用しましたが、電池の消費は非常に早く1日中使用した場合は持たないと感じました。
ミラーレス一眼カメラの場合、液晶画面上に常にプレビューが表示されるため、電池の消費量が多いという問題があります。
使用して同等だと感じた性能
ここまではEOS RとEOS RPにおける違いについてご紹介してきましたが、ここからは実際に使用してあまり違いを感じることのなかった性能についてご紹介していきます。
高感度撮影
夜間などの撮影で違いが出てくるISO感度を上げた高感度撮影ですが、EOS RとEOS RPの両モデルではあまり性能差を感じることはありませんでした。
両モデルで優れた高感度耐性
どちらも最高常用ISO感度はISO40000となっていますが、ISO6400程度までは実用性のある描写を実現してくれます。
発売時期が近いこともあり、どちらもフルサイズセンサー搭載モデルかつ最新映像エンジンDIGIC8を搭載しているため、高感度撮影において大きな違いはないと言えます。
色表現能力
色表現能力に関しても高感度撮影同様に同じ映像エンジンを搭載しているため、あまり違いがないと言えるでしょう。
EOS Rシステムの優秀なホワイトバランス
EOS Rをはじめて使用した際に、これまでのカメラからの進化でオートホワイトバランスの正確性がありました。
日中晴天時のオートホワイトバランスは、これまでのEOSシリーズでも正確な色表現を行っていましたが、色付きガラス越しなどの撮影では、正確な色表現を行うことは困難でした。
EOS RとEOS RPでは、ほぼ同じ画像処理能力を保有していることから、どちらのモデルでも正確な色表現を自信としています。
オートフォーカス性能
数値上ではEOS RとEOS RPではオートフォーカス性能に違いがあるとされています。
AFポイント数に違いがあるものの、体感では違いを感じない
明確な違いとしてAFポイントがEOS Rで最大5655ポジションなのに対して、EOS RPでは最大4779ポジションとなっています。
数値上では大きな違いが生じていますが、正直なところ撮影において500ポジションのAFポイントを保有している場合、それぞれのモデルでAF性能の違いを体感すること非常に困難です。
EOS RもEOS RPもポジション数に違いはあるものの、どちらも人間の体感では判断することのできないほどの高性能AFであるため、違いを感じることはほとんどないと言えるでしょう。
どちらを選ぶべき?
ここまで両モデルの違いや変わらない点についてご紹介してきましたが、「結局どちらを選ぶべきなのか」についてご紹介していきます。
初心者はEOS RPがおすすめ
EOS RPはコンセプト通り、初心者が扱いやすいカメラとして撮影性能以外にも操作面で扱いやすさを感じることができます。
これからカメラを初めてみたいという方にはもちろん、これまでAPS-Cのカメラを使っていたけど、フルサイズ一眼デビューをしたいという方にも大変おすすめできるカメラです。
EOS RPはフルサイズセンサー搭載カメラの入門として初心者が選ぶべきフルサイズミラーレス一眼カメラです。
新しいという印象はEOS Rの方が上
一方で先に発売となったEOS Rですが、こちらはキヤノンに新たな可能性を感じることができる新鮮なカメラです。
EOS RPはどちらかというと、これまでの一眼レフカメラから継承した部分が多いのですが、EOS Rでは、マルチファンクションバーやシャッター幕など、全く新しい機能も多く搭載された「最新カメラ」を強く感じることができるモデルです。
私を含め、一眼レフでの操作に慣れてしまっている方にとってはEOS Rでの操作感というのは扱いづらいように感じます。
しかし、EOS Rの操作性は決して悪い訳ではなく、ただ慣れていないだけだと私は感じていて、慣れることで撮影における利便性や無駄な手間というのは大きく削減できると考えています。
EOS RとEOS RPは明確なレベル分け
今回はキヤノンの最新カメラであるEOS RとEOS RPを比較して違いを検証してきましたが、両モデルは使うユーザーのレベルによって調整されていると感じました。
EOS Rは、正直なところ昼間の撮影ではまだまだ一眼レフモデルに敵う存在ではありませんが、夜間撮影においては非常に優れた能力を発揮するカメラです。
夜間撮影など特定のシーンにおいてはEOS Rはプロフェッショナルの現場でもトップクラスの性能を実現する、大変優れたカメラです。
そして、初心者に寄り添っているのはEOS RPですが、フルサイズセンサーを搭載した高品位のカメラとして写し出される画像の質を低下させずに、コスト削減やカメラの小型軽量化を実現させたことはキヤノンの技術が光った場面だと感じます。
気軽にフルサイズを体感するEOS RP、次世代EOSシリーズとして新鮮なEOS R。どちらもおすすめできますが、使うべきユーザー層は異なります。
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EOS Rシリーズはレンタルでお試し
今回ご紹介してきたEOS RとEOS RPは、レンタルで使うことができるのはご存知ですか?
家電レンタル「Rentio(レンティオ)」では、EOS Rシリーズに属するEOS RとEOS RPをインターネット上から気軽にレンタルすることが可能です。
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